稲葉 一明 一覧

J0389とJ0384 07.03.04


j0389

J0384
ハチゴロウが死んでしまった。
僕としては非常に残念というか悲しい。
沢山のハチゴロウファンも同じ気持ちであろう。
実は僕はハチゴロウは死んでいると思っていた。
ただ、それは遠くの海に落ちてとか、大陸のどこかで行き倒れ、そう思っていたのだ。
なのに、こんなに近くで死んでいたとは、まったく考えていなかった。そんな死に方をあいつがするとは、とても予想できなかった。何が原因で死んだのだろうか。コウノトリの郷公園でもはっきりとした見解は出ていないようだ。
彼の運気が落ちている兆候はあった。メスにはうまくアプローチできず、362とは結構仲が良かったのであるが、こともあろうか、野上の増殖場で虎視眈々とハチゴロウの座を危ぶんでいた290とできてしまった。290は294とできそうな感じだったのに、なんと、362と294がバトルして362が勝利を収め、290と362という兄妹の関係でできてしまったのだ。ヒマラヤスギのてっぺんも290に取られ、アカマツの巣もハチゴロウが少し出掛けている間に290たちに居座られたりしていた。ハチゴロウは豊岡でカップルになることをあきらめたのか、今年は巣作りもほとんどしていなかった。大体昨年お見合いに放たれたメスを贅沢言って逆に攻撃するという暴挙も、メスたちの反感を買ったであろうし、彼も、もう豊岡での生活で子孫を残すということにややあきらめ感が出てきたのかもしれない。
ハチゴロウから野上の主導権を奪った290と禁断の愛を勝ち取った362のカップルも、繁殖行動が認められるや、近親交配、野生復帰プロジェクトによろしくないということで、290捕獲作戦が行なわれるや否や、餌に釣られて関係者もびっくり10分ほどで自らケージの中に入っていき、あっさり捕獲され、繁殖シーズンが終わるまで飼育下に置かれることとなった。
さて、長々とハチゴロウが死んでしまったことについて恨み言など書いてきたが、ようは、野上増殖センターの主がハチゴロウから290に移ったものの、290も昨日捕獲され、コウノトリたちにとってなかなか居心地の良いこの地の主がいなくなったとたんに、389と384のカップルが早々にやってきたのである。このカップル、まだ完全にできているのかどうか疑わしいところもあるが、早速ヒマラヤスギのてっぺんにオスの389が、その下の木にメスの384が占拠している。コウノトリ達もなかなかしたたかというか、競争が激しいのである。良い場所はすきあらばみんな狙っているのだ


生き物調査体験「発見!発信!円山川下流域」07,03,04AM


カンムリカイツブリ
環境省が主催で豊岡氏が共催の標記事業に高橋主任研究員と岩本主任研究員が講師として参加した。
内容は、円山川下流域の戸島湿地、楽々浦を中心とした野鳥観察会。
参加者はスタッフ込みで約100名。

戸島湿地観察風景
戸島湿地は現在工事中で見た目は悲惨な状態。こんなところで鳥見をするのかという感じであったが、周辺部を含めて28種類が観察された。
私としてはミサゴ、夏羽のカンムリカイツブリ、が印象的であった。

 楽々浦六角堂での説明風景


オキナクサハツ


オキナクサハツ  ハラタケ目ベニタケ科ベニタケ属
(翁臭初)
Russula senecis Imai
夏から秋にかけて広葉樹林に出る。傘にはしわがあり、翁(おきな)の名が付いている。ハツタケの仲間で悪臭がするのでクサハツ。よってオキナクサハツ。しかし、悪臭がするかどうかは、系統によって差も大きいようだ。
傘が開くと表面の褐色の薄膜が裂けて、独特の面白い模様になる場合が多いようで、このあたりで分かり安い。

味は辛く、有毒であるが深刻ではなく、清水大典氏の図鑑では不食となっている。辛くて美味しくないのだ。
翁臭初
翁 おきな おじいさん
臭 くさい、においがする
初 初めて ハツタケ
平成18年7月22日 豊岡市妙楽寺


田んぼを食べる鳥


田んぼを食べる鳥
コハクチョウ  カモ目カモ科コブハクチョウ属
 豊岡盆地で2羽のコハクチョウが越冬している。コウノトリの野生復帰に取り組むこの地域では「コウノトリ育む農法」として、冬場にも水を張る「冬季湛水水田」が広がりつつある。コウノトリ以外の水鳥たちにも歓迎されているようで、これまでは羽休めに豊岡盆地へ立ち寄る程度だったコハクチョウが、昨シーズンより越冬地として居座るものが出てきた。これは大きな変化であろう。
 さて、このコハクチョウ、河谷地区でコウノトリ野生復帰に取り組んでおられる岡 治さんのブログから、「やっかいな水生雑草のクログワイが一番繁茂している田んぼを、過日1月20日トラクタでかき混ぜて以来、コハクチョウ2羽が住み着いて、終日クログワイの球根を食べてくれている模様。」との情報を得た。(http://pub.ne.jp/kounotori/「六方たんぼのコウノトリ」で検索可能)
 早速現地確認に赴いた。確かにコハクチョウは田んぼの泥の中に長い首のほとんどを突っ込んで、なにやら探し出し、引っ張り出すようにして食べている。よほど美味しいものなのだろうか、泥の中深く、もしかしたら30センチぐらい入っているかもしれない。トラクターで代掻きをしたあとだからこんなことが出来るわけであるし、そんな深いところにある美味しいものというのは、クログワイの球根である可能性は十分にある。もし、コハクチョウがクログワイの球根を退治してくれるとしたら、この厄介な難防除雑草を無農薬でやっつける新たな農法になる可能性もある。
 コハクチョウが田んぼに食らい付いている上空を4羽のコウノトリが舞っていた。冬季湛水水田は、コウノトリだけでなく様々な生き物を育み、そして農薬をできるだけ使わない安全なお米を生産していく。こんなに素晴らしいことはないだろう。
 純白の美しいハクチョウであるが、泥の中から出てきた顔は真っ黒である。
NPO法人コウノトリ市民研究所
主任研究員 稲葉一明
2007年2月11日掲載


田んぼの学校 食べる会、冬のビオトープ


田んぼの学校 食べる会、冬のビオトープ
曇り~雨 参加者約50名
最初に田んぼビオトープを少し見ました。

アカガエルの卵塊が確認できました。

みんなでそばうちをしました。




FMジャングルあゆみんの取材もありました。

そば団子も作りました。

あんこときなこです



天ぷらもしました。げそとかきあげ、カキ、そばのから揚げもしました。


みんなで食べました。

大変美味しかったです。
やはり食べる会は楽しいですね。


J0363真冬にカエルを食す


高病原性鳥インフルエンザの影響で、公開ゲージのコウノトリたちが収容されたとか、ハチゴロウとJ0294が駆け落ちしていなくなったのではないかとか、J0290とJ0362が兄妹なのにカップルになったとか、コウノトリたちの世界も騒がしいが、J0363は小坂盆地や出石川の河川敷で淡々と過ごしている。
昨年9月の放鳥後、コウノトリの郷公園へ一度も帰らずに自立している。
本日観察していると、冬眠中のカエルをあぜ際から見つけ出して食べていた。もしかしたら産卵に来ていたアカガエルかもしれない。

カエルを増やすということは、冬場の餌にもなるのだ。
種類まではちょっと同定できないが。アマガエルかなあ。アカガエルかなあ。

平成19年2月10日豊岡市沖加陽 東浦ビオトープにて


ハナビラニカワタケ


ハナビラニカワタケ(ヒダナシタケ目シロキクラゲ科シロキクラゲ属)
(花弁膠茸)
Tremella foliacea Pers.:Fr.
コナラの幹から肌色のビラビラが大量に生えている。ハナビラニカワタケである。これだけ沢山生えているのははじめてみた。
キクラゲの仲間だが結構目立つ色だ。やわらかくてビラビラの糜爛状、乾燥すると小さく硬くなる。
 以前、複数のキノコといっしょに佃煮にしたことがあるが、キクラゲのような歯ごたえは無く、ゼラチン状に半分溶けたようになってしまった。良い出汁が出るので汁物と相性が良いという。さっと湯に通して和え物や酢の物もいいらしい。写真のものについては、少し老菌であったので、観察だけにとどめた。
花弁:はなびら
膠:にかわ、獣や魚の皮・骨などを水で煮沸し、その溶液からコラーゲンやゼラチンなどを抽出し、濃縮・冷却し凝固させたもの。接着剤・写真乳剤・染色などに用いる。
茸:きのこ
平成17年11月6日 豊岡市妙楽寺


J0363


J0363
平成18年9月23日、円山川大磯の河川敷から放鳥されるも、草原にへたり込んでしまい、保護され、再び放鳥された。
放鳥約1ヵ月後には他の放鳥コウノトリたちが、すべてコウノトリの郷公園に舞い戻ってしまったが、J0363のみは自立している。神美地区、小坂地区、中筋地区を中心に定着しており、現在は小坂平野を中心としているようである。ねぐらは知らない。

小坂平野は、ほ場整備はされているものの、かなり古い時期と思われる(昭和40から50年代)。それでも、基幹排水路、排水路、田面はそれぞれ分離されているため、生き物の生息環境は良くない。しかし、水路には常に水はあるようで、小魚やドジョウなどはいる。

コウノトリの餌は、12月まではバッタ類がいるが、冬場が一番心配されている。しかし、J0363を見ていると、それなりにドジョウや越冬中の水生昆虫などを食べているようだ。

以前は、コウノトリは狭い水路には入らない、周りが見えない状態では危険なため餌は採らない、と言われていた。しかし、ハチゴロウの行動から水路でも採餌できることが明らかになった。J0363も時々首を伸ばして警戒しながら狭い水路内で行動している。

J0363の頭部から首にかけては汚れている。採餌の努力のためだ。
なぜ郷公園に帰らないのか。帰り方が分からないのか。放鳥時のショックのために、他のコウノトリたちと一緒におれなくなったのか。
今年の冬は雪が少なくて暖かい日が多い。J0363は3歳のメス。若くして苦労している。野生の厳しさが漂っている。

写真は平成19年1月3日 小坂平野


カワラヒワ


小さくてスズメみたいだよ。

一年中いるけれど、冬は群れで行動しているよ。
地面に降りてみんなで植物の種を食べているよ。

地味だけど、飛ぶと黄色い羽が良く見えてとてもきれいだよ。
田んぼや河川敷のあたりに飛んでいるよ。
僕はカワラヒワ。
06.12.22 豊岡市赤石


ニセクロハツ


ニセクロハツ  ハラタケ目ベニタケ科ベニタケ属
 地味なキノコである。夏から秋の雑木林に落ち葉を持ち上げてぼっこりと出現する。灰褐色~黒褐色。カサは極めて厚く、饅頭型からやがて中央部がくぼみロート状になる。ヒダは粗い。傷つけると次第に赤く変色する。肉質はもろく弾力性に乏しい。
 猛毒菌である。食後数十分と早い時期から嘔吐、下痢、言語障害、尿の赤変、心臓衰弱、意識不明から2~3日後に死亡。食べてすぐに症状が出る毒キノコは深刻な事態に陥らないと言われるが、このキノコの場合はそうではない。すぐに症状が出て2~3日苦しんだ後に死に至る。致死量は2~3本。
 食菌のクロハツやクロハツモドキと良く似ており、外見で区別することは難しい。クロハツやクロハツモドキは傷つけると赤からやがて黒色に変色するが、ニセクロハツは赤くなるところで変色が止まる。ニセクロハツに似た未分類の類似種も沢山あるようで、現在比較研究が行なわれているということである。写真のキノコは赤変するが黒変しないことからニセクロハツと同定した。
ベニタケ科の仲間には優秀な食菌が多い。ハツタケはその代表格であろう。日本人にとってハツタケは、マツタケ・シメジに並ぶ良菌かもしれない。近縁のアカハツ、シロハツ、クロハツ、カワリハツ、その他ハツタケにちなむ食菌は多い。しかしシロハツにはシロハツモドキという毒菌があるし、クロハツにはこのニセクロハツという猛毒菌がある。数年前に食菌との説もあるシロハツモドキに挑戦してみて見事に中ったことがある。もしニセクロハツに中ったらただではすまない。クロハツは良い出汁が出るらしいが、最近の図鑑では毒菌とされているものもある。あやしいキノコへの挑戦は絶対にやめておいたほうが良い。
NPO法人コウノトリ市民研究所
主任研究員 稲葉一明
平成18年12月10日掲載


1 14 15 16 17 18 19 20 24