高橋 信 一覧

田んぼの学校9月度 イナゴ、バッタ

2010年度田んぼの学校9月度
9月19日(日) あぜ道の生きもの、イナゴやバッタ
天気:晴れ
参加者:60人

本日の鍋は久美浜沖で上がったバショウカジキ、24キロ1本。

下ごしらえに余念のない鳴海食糧局長。

いつものビオトープ用の網ではなく、今日は虫取り網と虫かご。

まずは園内芝生でウォーミングアップ。バッタの数よりシカの糞の方が多い。

巣塔のある田んぼの中のビオトープに移動。

ここにはたくさんのバッタがいて、子どもたちが追いかけていました。

あっという間にたくさんのバッタがとれました。
コウノトリ市民研究所の活動の原点であるビオトープに久しぶりに入りましたが、とてもよい生き物生息環境が出来ていました。放鳥拠点としての役目を終えたのなら、再びこのビオトープに子どもたちを放って定期的に緩やかなかく乱を継続させるのが環境保全につながると思います。

コウホネが黄色い花を咲かせています。兵庫県RDBでは、このたびの見直しでAランクに格上げされた希少種です。

アジアイトトンボは、この時期のイトトンボの中で一番目立つ存在です。

本日の主役イナゴ。

暑くなってきたので早めに上がり、つかまえた虫の数を調べます。

上田代表から、今日のバッタ調査の報告をしました。

圧倒的にイナゴの数が多いです。
イナゴ 212
エンマコオロギ 28
ショウリョウバッタ 11
ササキリ 8
マダラバッタ 4
シバスズ 3
マダラスズ 2
クサキリ 2
カマキリ 2
ヒシバッタ 1
カナヘビ 3
カエル 1
イトトンボ 7
ハグロトンボ 1
シオカラトンボ 2
オオシオカラトンボ 1

いつもより早いお昼の大鍋となりました。カジキマグロのあっさりとした味噌汁が美味しかったです。


書評:「となりのツキノワグマ」宮崎学著


2010年8月8日(日)の神戸新聞「ひょうご選書」欄に、自然界の写真報道家・宮崎学氏の新刊「となりのツキノワグマ」の書評を書かせて頂きました。とても面白い本です。ぜひ読んでみてください。


市民フォーラム「外来種が増えて何が困るの?」報告

市民フォーラム「外来種が増えて何か困るの?」
日時:2010年2月28日(日)13:00~16:30
場所:豊岡市民会館 大会議室(4階)
主催:コウノトリ生息地保全協議会(コウノトリ市民研究所、コウノトリ湿地ネット、コウノトリ環境経済コンソーシアム、但馬野鳥の会、豊岡市)
後援:国土交通省 近畿地方整備局豊岡河川国道事務所
<プログラム> 13:00 開会あいさつ 13:10~14:20 基調講演 細谷和海氏(近畿大学農学部 環境管理学科 水圏生態学研究室 教授) 「ブラックバスはなぜ悪いのか」 14:30~16:10 報告 報告1 稲葉一明氏(兵庫県森林動物研究センター 専門員) 「ヌートリア・アライグマの生態と対策」 報告2 佐竹節夫氏(NPOコウノトリ湿地ネット 副代表) 「コウノトリの餌場づくりへ ~外来種駆除に苦闘中~」 報告3 日下慎二氏(国土交通省豊岡河川国道事務所 建設専門官) 「円山川の外来種、アレチウリを中心に」 報告4  浅見佳世氏(株式会社里と水辺研究所、兵庫県立大学 准教授) 「猪名川の外来種対策の実際(植物を中心に)」 16:10~16:30 質疑応答


司会進行は上田代表理事

細谷和海氏 「ブラックバスはなぜ悪いのか」

稲葉一明氏 「ヌートリア・アライグマの生態と対策」

佐竹節夫氏 「コウノトリの餌場づくりへ ~外来種駆除に苦闘中~」

日下慎二氏 「円山川の外来種、アレチウリを中心に」

浅見佳世氏 「猪名川の外来種対策の実際(植物を中心に)」
参加者は約50名ほど。
我々一般市民の単純な疑問が本フォーラムのタイトルであるが、その疑問に明快な解が示されたかといえば、少し釈然としない部分も残る。
今回のフォーラムで再確認したことは、結局以下のようなことだろうと思う。
(1)生物多様性の観点から、外来種の勢力拡大は今すぐ阻止すべきである。
(2)外来種が将来的にどんな悪影響を及ぼすのか今は分からない。
  細谷氏の言う「フランケンシュタイン効果」のリスクを減らすのが、現代人の責務である。
ひとつひとつの発表はよくまとめられていて、よい勉強の機会となった。
次回があるとすれば、研究サイドと市民サイドを交えたパネルディスカッションのような形式が有意義なのではないかと思った。


第6回「ザ・わかもの座談会」での発表

2009年2月22日(日)、兵庫県主催の第6回「ザ・わかもの座談会」に菅村副代表が参加し、活動内容の発表を行いました。
発表資料は第6回「ザ・わかもの座談会」発表資料で見ることができます。
メニューの「市民研スペシャル」からも辿れます。


10周年記念講演会終了


2009年2月21日(土)13時30分~16時45分
じばさんTAJIMA 2Fホール
準備不足と宣伝不足で、人が集まるのかどうか心配していましたが、準備した椅子がほぼ埋まるほどの沢山の人に来て頂きました。おおよそ120人ほどの聴衆が、熱心に目と耳を傾けてくれました。たくさんのご来場、ありがとうございました。
いくつかの写真を掲載して、当日の様子をお伝えしておきます。詳細は、後日、当HPで報告を上げる予定にしております。

前半は市民研究所の10年を振り返り、4人の主任研究員がそれぞれの専門分野から研究報告を行いました。
上田代表からは、10年間の歩みについて冒頭に総括報告。

友田主任研究員:「豊岡盆地に暮す鳥」
水辺、田んぼ、山の野鳥たちを、たくさんの写真を使って紹介しました。

北垣主任研究員:「水路・小川にすむ魚」
いくつかの絶滅危惧種も、継続調査によって発見されました。

稲葉主任研究員:「モクズガニフクロムシの発見」
円山川中流域で捕獲したモクズガニに偶然見つけたフクロムシ、やがて大きな話題へと発展してゆきました。

菅村主任研究員:「豊岡盆地の植物~絶滅種・新発見種~」
今では消えてしまった植物、新たな発見種について報告。タンポポの分布についても貴重な調査報告がなされました。

15時からは、自然界の報道写真家・宮崎学さんによる「自然からのメッセージ~人と自然のはざまから~」と題した記念講演を、1時間半に渡り聴講しました。

日中は人で賑わう遊歩道で、悠然と行動するツキノワグマの親子。
子グマは擬木の上に乗って遊んでいます。

矢印はすべて熊棚。こんなにも大胆な熊の痕跡があっても、誰一人それに気づかないのが現状。

宮崎さんの講演を熱心に聴き入る会場のみなさん。

自然からのメッセージを写真で伝えるのが宮崎さんの仕事。地元で活動する人たちこそが、自ら自然からのメッセージに気づいて、それをヒントに人と自然のあり方を考えてゆくことが求められています。
※写真は、明石市のため池で活動するヌートリア
コウノトリ市民研究所10周年にふさわしい、すばらしい講演会となりました。


設立10周年記念講演会のご案内

自然界の報道写真家 宮崎学
「動物からのメッセージ~人と自然のはざまから~」


日時:2009年2月21日(土)13:30~16:30
場所:じばさんTAJIMA 2Fホール
入場無料、当日会場に直接お越し下さい
<プログラム> 
13:30 開会あいさつ
「市民研の歩みと豊岡盆地の人と自然」
13:50 研究発表
「豊岡盆地の生きものたち」
(1)「豊岡盆地で暮す鳥」   
(2)「水路・小川にすむ魚」
(3)「モクズガニフクロムシの発見」
(4)「豊岡盆地の植物~絶滅種・新発見種~」
15:00 記念講演 宮崎学
「動物からのメッセージ~人と自然のはざまから~」

16:20 質問
16:30 閉会あいさつ 
主催 NPO法人コウノトリ市民研究所・コウノトリ生息地保全協議会
案内パンフレットはこちら


楯と表彰状

 
地方自治功労者表彰 総務大臣賞受賞の楯と表彰状です。以下の記事参照。
http://kounotori.org/blog/index.php?e=237
市民研究所の倉庫の中に飾ってあります。


豊岡盆地のイトヨ プレ調査

【日 時】2007年5月13日(日)15:00~17:30
【参加者】主任研究員8名
2007年度のNPO総会終了後、最近話題になったイトヨ(トゲウオ)の調査に行こうと有志が行動した。かつて本川とつながるいくつかの水田水路にイトヨが遡上してきた。その昔、豊岡高校生物部ではイトヨの調査を継続的に行っていた。最近の事情はさっぱり分からない。

激特事業で河道拡張工事が行われている現場。工事前は本川と細い水路でつながっていた池(というか沼というか、水溜り)がある。10年ほど前、この場所で子供とザリガリ採りをしていたら偶然イトヨが網に入って驚いたという市民からの情報を、最近国交省に伝えた。
さっそくにも国交省の調査が入った。現時点でイトヨを確認するには至らなかったが、経緯を踏まえてこの湿地に注目する旨の回答を得た。残った湿地は今後の工事で埋められることはないし、すでに埋まった部分は元の状況に近い形に戻すとのこと。国交省の動きも、ずいぶん環境配慮型へと変わってきている。

さて、その池である。工事で本川との水路が分断されており、降海型イトヨの行き来は現状では無理。陸封型イトヨは豊岡盆地には元々いないとされている。
網を入れると、なるほどアメリカザリガニの幼体がよく採れる。小型ゲンゴロウ類も網に入った。しばらくすると親子連れがザリガニ採りに現れた。ここは昔から現在に至るまで、やはりザリガニ採りのポイントのようだ。市街地に隣接することも人気の秘密だろう。
この池とつながる湿地を移動しながら網を入れてみたが、イトヨどころか、雑魚一匹も見つからなかった。どうも現時点で魚は棲めない環境のようだ。ヨシ原では県レッドデータBランクのオオヨシキリが盛んに囀っていた。

さきほど終わった総会内、激特工事中の豊岡盆地の水辺で、魚類を含めた水生動物の現状調査をしたらどうかと提案した。イトヨにターゲットをおいてみたらどうか。今後の水辺環境回復の指標として、現時点での調査結果は生きてくる。
そんなことで、勢いづいた私たちプレ調査団は、日が暮れようとする時刻もお構いなしで、河口右岸の戸島湿地の工事現場へとポイントを移したのであった。
東の林縁に「末期の水」と呼ばれる湧き水が湿地に流れ込んでいる。昔から地元の人には知られた山清水のようだ。この清水にイトヨが誘われてくるかも? ヨシ原の泥地は水場とヌタ場になっている。獣臭がむんむんする。
ここの複数個所で網を入れてみるが、ザリガニ一つ採れなかった。湿地の中核に入れば生き物がいるにちがいないが、工事で深堀りされた溝をすくっても成果なしだった。サギ類と、コガモが少し残っていた。

戸島湿地と本流をつなぐ水路を調査した。周りの施設からの排水も流れ込んでいる。しかしカワニナやカダヤシが網に入ったから、生き物が住める環境にはある。イトヨがこの水路を伝って整備された戸島湿地に入り込む可能性もあることをうかがわせた。夕方の上空を県レッドデータAランクのミサゴが飛んだ。

戻り道の円山川右岸、田んぼの水路にいかにも「居そう」な、湧き水のプールを覗いてみた。肉眼でも魚影が確認でき、最初はシマヘビがのんびり泳いでいた。網で確認できたのはフナとメダカ。田植えの時期に水が溜まるように簡易の堰が設けてある。水質もよいこの場所、本川からのイトヨ回遊の可能性に期待しながら現場を後にする。
今後、定期的に盆地内の水路を同じように調査してみると、意外な発見があるかも知れない。本来のコウノトリ市民研究所らしく、生き物調査のモチベーションを少しずつ回復してゆきたいと思っている。
※今回、最後の湧水池の調査では、地主と思われる方から、無断で私有地に入ったことに対する注意を現場で受けた。水田内での生き物調査には同様の問題があるので、子供どうしの遊びならともかく、大人の調査ではそれなりの気遣いが必要である。今後の活動への留意事項として記録に残す。


タマシギ

六方田んぼの隠れたアイドル

タマシギ(チドリ目タマシギ科)
 雨の日曜日、六方田んぼ百合地地区の湛水田をまわってみる。今日は工事が休みでダンプも通らない。近くの人工巣塔の営巣コウノトリ見物の人も来ない。そんな静かな雨の朝、安心しきって湛水田に顔を出したのは警戒心の強いタマシギ。しかも色の綺麗な雌が2羽。
 タマシギは他の鳥の雄と雌の関係が逆転したユニークな生態を持つ。雌の方が派手な色をしていて、一夫多妻ならぬ一妻多夫の繁殖を行う。雌はペアとなった雄との卵を産んだ後は、抱卵から先の一切の子育てを父親に任せてしまう。そしてまた別の雄を求めて新しいペアを作る。子育てを分散させることで、水田環境で子孫を確実に残そうという戦略だ。
 タマシギは姿もユニーク。黄褐色の雄もそれなりだが、やはり雌の羽根模様が美しい。茶色の首、胸には黒いV字の模様、それに沿って肩からの白いたすきがお腹の白とつながる。先にゆくほど赤みが増すくちばしがおしゃれだ。そしてタマシギ最大の特徴が大きな目と、それを隈取る白い勾玉模様。半夜行性のシギだから大きな目をしている。昼間は白い隈取りが外敵への威嚇効果になっていると考えられる。
 観察中のタマシギに突然緊張が走った。次の瞬間、黒い影が地上すれすれを高速で飛んだ。ハヤブサだった。3度タマシギめがけて攻撃を仕掛けたが、くぼみにうまく身を隠したタマシギは難を逃れた。どうやらタマシギの目模様もハヤブサの前では効力がなさそうだった。 
 健全な水田環境があって初めて、タマシギが暮らしてゆける。タニシやカワニナ、ミミズ、バッタなどを食べる。田んぼの健全性を知る指標生物として、タマシギは隠れたアイドルと言ってよい。コウノトリを育む田んぼは、他のたくさんの生き物を育むことに他ならないのである。
文と写真 NPO法人コウノトリ市民研究所・高橋 信
※2007年5月13日(日)掲載


ジョウビタキ

北へ帰る里の冬鳥

ジョウビタキ(スズメ目ツグミ科)
 冬の人里で見られる鳥の中で、ジョウビタキはもっとも親しまれている冬鳥の一つだ。名は知らずとも、きっとどこかでその姿や声を聞いているはず。
 秋が深まるといち早く日本に渡ってきて、人家や人工物にも寄ってくる。胸から腹にかけて美しい橙色、黒い翼にワンポイントの白斑が目立つのがオス。尾羽を小刻みに震わせて、「ヒッヒッヒッ」とよく通る声で鳴く。
 ジョウビタキの名はオスの頭に由来している。銀色の頭を白髪に見立て、お爺さんの意味である「尉」(じょう)を充てた。近所のお節介やきのお爺さんのような、いつもそばにいて憎めない存在と言えば、確かにそんな雰囲気を持った鳥かもしれない。
 メスはオスとうって変わって地味な褐色をしているが、翼の白斑はオスと同じようにある。オスが派手な分メスの存在感は薄いが、野鳥ファンにはメスの方が人気のようだ。オスでは黒い顔の中に埋もれてしまうクリッとした目が、メスのチャームポイントになっている。
 越冬中、ジョウビタキは縄張りを持つ。縄張りの領域にはいつも同じ個体が飛び回っては鳴き声を出し、ほかのジョウビタキを寄せつけないようにしている。だから冬の間じゅう、この鳥を同じ場所で見かけることになるのだ。
 ジョウビタキは春が近づくと海に出る。大概の冬鳥は同じように一旦は海を目指す。海にはそうして集まった仲間がたくさんいて、北の繁殖へと海沿いに連れ立って帰ってゆくのである。ジョウビタキがいつの間にか里からいなくなるころ、野山では南から戻ってきた夏鳥たちの歌声が聞こえ始める。
文と写真 NPO法人コウノトリ市民研究所・高橋 信
※2007年4月15日(日)掲載


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