稲葉 一明 一覧

二ホンヤモリ

二ホンヤモリ 日本家守、Gekko japonicus

玄関の戸にヤモリがいた。二ホンヤモリである。まだ子供で小さい。ひさしびりに見たように思うので撮影した。

玄関灯をかなり強力なライトにしているので、光に集まってくる昆虫類を狙っているようだ。この時期、カゲロウ類がわんさか羽化して虫だらけであり、食べ物には困らないだろうと思う。

目がくりっとしていて可愛い。まぶたがないのだ。
体の動き、くびれ、壁にくっつく膨らんだ指先、時々出す舌、小さな体で、あわてて逃げるでもなく、妙に可愛い。
よく見ると、体はうろこに覆われ、顔は恐竜のように真剣だが、やっぱり小さくて可愛い。
爬虫類ファンが結構いてペットショップで売られているらしい。確かにヤモリは魅力があるなあと思った。
でも、時々出会うのがよろしいと思う。
全長10-14cmになる。体の色を変化させることができる。背面にやや大きい鱗がある。しっぽはトカゲと同じで自切・再生できる。扁平な体で狭い場所にも潜りこむ。
民家とその周辺に生息し、家を守る、家守り、ヤモリということ。身近な生き物でハエやカなど衛生害虫を食べてくれるので、ヤモリがいると縁起が良いとして昔から大切に扱われていた生き物と言える。

日本では原生林等では見られないので、日本原産とは考えにくく、大陸からの貨物等に紛れて持ち込まれた外来種と見られている。中国には同一種が原生林にもいるらしい。
学名には japonicusが付いている。
ケッケッケッと鳴く声を聞いたように思うが、二ホンヤモリはあまり鳴かないらしい。でも良く鳴いているように思うのだけど、、


田んぼの学校2009.05.17


田んぼの学校 田んぼビオトープの生き物
天気:雨 参加者:約30名
神戸の高校で新型インフルエンザが発生し、学校関係のスタッフは大忙しになっている。コウノトリ文化館入り口でも消毒などしている。雨も降っているし、あまり来ないかと思っていたが、20名ほどの親子が集まった。スタッフや郷公園の人も合わせて約30名、雨なのに結構な人数になった。
田んぼビオトープでは、アカガエルのオタマが大きくなり、そろそろ上陸しだしている。ゲンゴロウ類がいないのかなと思ったら、少し深いところで沢山捕れた。またカゲロウの幼虫が目立った。幼虫では同定が非常に難しいらしいが、モンカゲロウの幼虫の写真と同じだったのでカゲロウ類の幼虫には間違いない。
カゲロウの幼虫

雨の中、子供たちは非常に熱心。カエルもムシもみんな大好き。文化館に運んでじっくり観察したあと、もといた田んぼビオトープに逃がしてやりました。1年生でしょうか、せっかく捕まえたのに別れがつらくて泣きそうになる子もいました。

生き物のリストです。

大鍋は、シカ肉です。天気が良ければ100人以上来そうな時期だったこともあり、お肉が沢山。非常においしかった。お代わり3杯する子もいました。


ブナの開花とツキノワグマの関係


ブナは実をたくさん付ける豊作の年と、ほとんどあるいは全く実を付けない凶作の年がある。春にほとんど花を咲かせない年はもちろん凶作になる。
ブナの豊凶は近畿、西日本あるいは全国的に同調する傾向がある。全国的に豊作とか、全国的に不作とかになる。
ブナの実は、ツキノワグマが越冬に備えての秋の重要な食料になる。だからブナが不作の年にはクマがたくさん人里に下りて来て、カキなどを食べる傾向がある。
兵庫県の場合は、コナラなどのドングリの豊凶もクマの出没に大きく影響するが、氷ノ山山系ではブナ林もそれなりに広大で影響は大きい。
平成17年にブナが大豊作であったが、その後18,19,20年とブナの凶作が続いた。ほとんどあるいは全くといってよいほど実が付かなかった。その間、ブナの木は実を付けなかった分、栄養を温存している。ブナの実を食べる虫たちは、ここ数年ブナが凶作のため数を減らしている。ネズミなどの採食者も不作が影響して数を減らしている。ブナは4,5年に一度大豊作になり、あとは凶作というパターンが多い。数年の凶作のあとにいっせいに実を着けて大豊作になると子孫を残すのに有利なのだ。採食者が食べきれないのである。毎年同じぐらい実を付けていると、実を全部食べられてしまうのだが、広域的にブナが豊凶を同調させることでそれを防いでいるのだ。
長々中途半端な説明をしてきたが、つまり今年は豊作になる可能性が高いとういことだ。
で、先週日曜日と、本日、ブナの開花を見てきた。

4月12日、三川山のカタクリの花を見に行ったのであるが、標高450mほどのところからブナ林が出現する。多くのブナがぎっしりと花を咲かせていた。

4 月18日、蘇武の林道沿い800~900mぐらいに見られるブナ林、やはり開花が始まっている。ついに今年は盛大に花を咲かせたのである。数年間花をほとんど咲かさずに凶作をつづけた後に花を咲かせるとその秋は台風などの気象的な影響がなければ豊作になる。つまり今年の秋はブナが豊作になる可能性が高い。ということは、ツキノワグマが里へ降りてくる数も少なくなる可能性が高いのだ。


昨年の秋は、但東や出石を中心に全県的にクマが大量に出没したが、今年はどうなるであろうか、氷ノ山方面と比べると、床ノ尾山系はブナの数が少ない。今年の但東や出石のクマの出具合はどうなるのであろうか。
*ブナやどんぐりの豊凶とクマの出没との関係は、兵庫県のツキノワグマ保護管理計画にデータ等が掲載されています。
http://web.pref.hyogo.lg.jp/contents/000123055.pdf

おまけ、カタクリの花


2009年度 田んぼの学校開催計画

コウノトリ市民研究所「田んぼの学校」
 田んぼやその周辺で遊んだり生き物調査をしたりします。お昼は地元食材で鍋などをつくります。
 毎月第2日曜を第3日曜の変更します。
年間スケジュール 毎月第3日曜日午前中
 4月19日 タンポポ探し、春の草を食べる
 5月17日 田んぼでオタマ、タイコウチなど
 6月21日 田んぼでトンボやカエル、メダカ 
 7月19日 小川で魚とリ
 8月16日 里山探検
 9月20日 あぜ道の生きもの、イナゴやバッタ
10月18日 秋の田んぼでアカトンボ
11月15日 里山で落ち葉集め、薪作り
12月20日 木の実や蔓や木切れで工作
 1月17日 里山観察、足跡や野鳥など、雪遊び
 2月21日 冬の田んぼ、アカガエル調査
 3月21日 自然を食べる会、ソバ打ちなど
※いずれも9:30~12:00
第3日曜日

◆集合場所:コウノトリ文化館
◆対象:どなたでも 小学生以下は保護者同伴
◆参加費:子供100円
◆その他:雨天でも中止はありません。
◆問合せ:コウノトリ文化館 23-7750


田んぼの学校 アカガエル調査 2009.03.08


田んぼの学校2009.03.08アカガエル調査
少し寒かったですがお天気もよく、田んぼの学校日和でした。
この時期参加者が少ないのではなかろうかと心配しましたが、子供たち16名と保護者、スタッフ、赤ん坊入れて30名の参加となりました。
公開ゲージ奥の休耕田ビオトープで、アカガエルの卵塊を分担してカウントし、その後、冬のビオトープにどんな生き物がいるかを調べました。
アカガエルの卵塊については、約500もカウントでき。一枚の田んぼに多いところでは200を超える数である。
ニホンアカガエルかヤマアカガエルか、どちらの卵塊かはよくわからないが、おそらく両方が混ざっていると思う。
アカガエルは基本的には一匹でひとつの卵塊を生むらしいので、この場所に500匹ぐらいのメスのアカガエルがいて、それと同等数以上のオスがいるということになろうか。
このカエル、田んぼの乾田化で各地で激減しているらしいが、コウノトリの郷豊岡では十分に健在である。
たくさんの卵塊

初期の卵塊 胚は丸い

熟した卵塊  胚が成長している。

卵塊から出てきたオタマジャクシ、自らの卵塊(ゼリー状の部分)を食べるらしい。このオタマジャクシを見て、あるお母さんが「ひじきみたい!」、なるほど、ひじきみたいだ。それを聞いたお子さんが、「ひじきたべたい!」って、素晴らしいリアクションであると思った。 


次に冬のビオトープの生き物たち、子供たちが網を入れて掬ってくる。暖かい時期のように田んぼの中にはだしで入っていって捕るわけではないので、それなりに数は少ないと考えられる。しかし、たくさん出た。
アカガエル卵塊、ドジョウ、メダカ、ミナミヌマエビ、カワニナ、
ヤンマ型ヤゴ(たぶんマルタンヤンマ)、イトトンボ型ヤゴ、トンボ型ヤゴ、
オオコオイムシ、ヒメゲンゴロウ、マルガタゲンゴロウ、クロゲンゴロウ、
マツモムシ、カゲロウ類の幼虫、ミズムシ、
10月に大量に捕れたギンヤンマのヤゴが出てこない。あぜ際にはいないのであろうか、、、
鍋は、地元野菜とエミューのお肉の入ったものでした。エミューは北海道産で、地元の特産でも何でもありませんが、食料担当の鳴海さんがどうしても珍しいものを食べたいということで、イレギュラーな食材になりましたが、、、、かなり硬かったですが、珍しいし好評でした。

あと、今日は、朝日新聞さんが取材にこられました。東京本社から田んぼの生き物調査とかの連載を春からするのだそうで、今の時期の取り組みを探したが、全国的に探してみてうちしか見当たらなかったそうです。子供たちの網の使い方が慣れていたので感心されておられました。3月下旬に記事になるそうです。


エノキタケ


エノキタケ
キシメジ科エノキタケ属(Flammulia velutipes(Curt.:Fr.)Sing.)
我が家の庭のクルミの木が大きくなって厄介なので、ばっさり切ってしまったら、切り株がだんだん朽ちてきた。1年目の冬、よく分からないキノコが生えてきた。2年目の今年、こいつが生えてきた。最初見たときツキヨタケを連想したが、時期と香りでエノキタケと気がついた。

栽培きのこも沢山あるが、野生種と販売されているのとがまったく違うキノコの代表がこのエノキタケであろう。
もやし栽培のものと似ても似つかない野生エノキタケ。大きい。
香りが、もやしエノキと同じであるので、同一種であることが理解できる。

真冬に雪の中でも徐々に成長する。外見的にはあまり特徴のないきのこといえると思うが、この時期生えているキノコはないから、間違いにくい。
柄が黒い。ぬめりがある。傘は8センチぐらいにまで大きくなる。
味、歯ごたえ、ぬめり食感、良好である。
真冬に庭に生えてきてこれだけおいしいのであるから、非常に優れた食菌である。

栽培ものも、もやしにせずに普通に大きくしてもよいように思うのだが、、、


田んぼの学校2009.02.08そばうち、食べる会


参加者、子供19人、保護者入れて30人、スタッフ入れて40人、と、結構な人数になりました。
エプロン持参の人も多く、みんなやる気満々?
お父さんの参加も3名ほどありました。
友田主任研究員の指導。
そば粉、団子の粉 (豊岡市中谷産)で、そばうちとお団子作り。
スズキ、カキ、白子の天ぷら、材料は日本海産。
そばの空揚げもしました。
団子には、あんこと、黄な粉と、はったい粉。これらは国産を購入。
残念ながら、中力粉と食用油は外国産穀物だと思うが、ねぎも含めてかなり国産自給率が高い。コウノトリのいる六方田んぼでできたそば粉と団子の粉。
そば粉2.5キロ、団子の粉1.5キロほど使いました。
量的には少し食べ切れませんでした。子供たち低学年が中心だったし。

みんな熱心に取り組み、おいしくできました。
相変わらず観光客の皆さんは、コウノトリの餌を作っているのかと聞く人がいました。
子供の餌だというと納得?、実はスタッフを含めた大人のが一番喜んでいた?。


ニホンジカ


偶蹄目シカ科 Cervus nippon
但馬にはシカがたくさんいる。豊岡市、円山川の東側も特に多い。自動車で出石から但東を抜けていくと、何頭ものシカと出くわす。多くの但馬のドライバーはシカと衝突しそうになったことがあると思うし、中には実際に衝突して車を台無しにしてしまった人もたくさんおられると思う。
シカに出会うのは、多くの場合が夜間である。夜はシカをはじめイノシシやクマ、テン、タヌキなどの野生動物が林縁部や農地、場合によっては集落の中を歩き回っている。

特にシカについては、生息密度の増加も影響しているか、昼間でも山を歩いていると目撃したりすることが多くなったように思う。あるいは、林道や山間部の県道、国道などを車で走っていても、昼間にシカを良く見かけるようになった。この写真は、豊岡市畑上の林道。
山の中はシカが下層の植物を食べてしまうので、スカスカになり歩きやすくなってしまったところが多い。5年前の情報では、笹薮で見つけにくいとされていた登山道の入り口が、今ではシカがササをきれいに食べてしまったので、簡単に見つけることができたりする。豊岡市の山々はこの10年ほどでシカのために大きく変化しているといえるかもしれない。
雪の写真は出石町内のある峠道。まだ雪がたくさん残っていて、山の中はシカも歩きにくそうである。立派な4段角のオス。悠々と私の車の前を私の車が通るタイミングに合わせるように横切っていく。車の方が停まってくれるのが当然と思っているような感じである。
 大雪になると、たくさんのシカが餌を食べられなくて春までに餓死するという。しかし、今年ぐらいの降り方だと、まだまだササなどが食べられる状況にあり、とても餌が食べられないという感じではない。
 シカの天敵は今では人間しかいない。大昔はオオカミや山犬がかなり活躍していたと思う。シカも昭和20年代辺りには、ほぼ捕りつくされ、絶滅寸前だったようだが、徐々に個体数を回復し、今ではそこらじゅうにいる。奈良のシカ公園に行かなくても簡単にシカが見られるようになってしまった。農作物の被害、森林生態系の被害も深刻である。希少植物もどんどん食い尽くしていく。


田んぼの学校 冬鳥調査 2009.01.11


冬鳥調査
晴れ時々雪
参加者約約20人(子供9人)
昨日から大雪注意報が出ていて、すっかり積雪。
しかし今日は朝から晴れ模様で、雪景色がとても美しい。

郷公園も早朝から除雪作業、今日はこんな天気だからほとんど参加者はないだろうと思っていたが、常連さんで子供が9人、参加者20人ほどの人数になった。

学習室で高橋主任研究員から、渡り鳥の通り道や、今日観察できそうな鳥についての説明。その後東公開の方まで鳥見。雪の中で鳥は発見しやすい。
確認できた鳥は別添のとおり14種類。カモ類は円山川のほうに行っているようで一羽もいなかった。
コウノトリはもちろん、ノスリを見ることができました。


お昼は豪華。カキの入った炊き込みご飯のおにぎり、タラの白子やマツバガニなどの大なべ。
とてもおいしかったですね。


セイタカイグチ


セイタカイグチ (ハラタケ目オニイグチ科キクバナイグチ属)
Boletellus russellii(Frost) Gilb
(背高猪口)
 広葉樹林、アカマツ・コナラ林などの地上に発生する。
 イグチの仲間だから傘の裏はヒダではなく細かい泡網目状になっている。柄に疎荒な網目状の隆起があり、赤褐色の地に白い網目状の隆起が特徴的である。
 9月上旬いろいろなキノコが沢山出ている中で一本だけで単生していた。まだ小さかったので、あくる日にもう一度行ってちょうど採りごろであった。夏の終わりのきのこだから、成長が早く少し遅れると虫も入りやすい。
 初めて食べてみた。一緒に採ったミキイロウスタケ(後ろに写っているきのこ)やベニウスタケと共にさっと湯がいてポン酢で食す。
 歯ごたえがしっかりしていて歯切れよく、適度にぬめりもあり、香りもきのこ臭が心地よい。非常に優れた食菌だと思う。
 実はこのきのこ、以前よりずっと食用とされており、古い図鑑ならどれも食用と記載されていたが、近年中毒事例があったようで、学研フィールドベスト図鑑「日本の毒きのこ」(2003年10月)には毒成分不明のまま毒きのことして記載されている。よく似た紛らわしいきのこはない。
背高猪口:背の高いイグチ
平成20年9月7日
豊岡市出石町の法沢山の登山道で


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