稲葉 一明 一覧

田んぼの学校2010

コウノトリ市民研究所「田んぼの学校」
 田んぼやその周辺で遊んだり生き物調査をします。お昼は地元食材で鍋などをつくります。
◆年間スケジュール
 4月18日 タンポポ探し、春の草を食べる
 5月16日 田んぼでオタマ、タイコウチなど
 6月20日 田んぼでトンボやカエル、メダカ 
 7月18日 小川で魚とリ
 8月15日 里山探検
 9月19日 あぜ道の生きもの、イナゴやバッタ
10月17日 秋の田んぼでアカトンボ
11月21日 里山で落ち葉集め、薪作り
12月19日 木の実や蔓や木切れで工作
 1月16日 里山観察、足跡や野鳥など、雪遊び
 2月20日 冬の田んぼ、アカガエル調査
 3月20日 自然を食べる会、ソバ打ちなど
※毎月第3日曜日、いずれも9:30~12:00
◆集合場所:コウノトリ文化館
◆対 象:どなたでも(小学生以下は保護者同伴)
◆参加費:子供100円(傷害保険料など)
◆その他:雨天でも中止はありません。


ツマグロオオヨコバイ


ツマグロオオヨコバイ (半翅目 オオヨコバイ科Bothrogonia ferruginea)
田んぼの害虫でツマグロヨコバイというのがいるが、小さな粒みたいなものだが、それを大きくしたようなやつが庭にいる。1.5センチぐらいあるので、かなり目立つ。ツマグロオオヨコバイ、あるいはオオツマグロヨコバイと和名表記されているやつだ。通称でバナナムシとも呼ばれるらしい。平地の林や原野、人家付近に生息する。

この仲間は、植物の汁を吸って生きている。田んぼにはツマグロヨコバイが大発生して稲の成長に影響を与えるが、ツマグロオオヨコバイは大量発生しないので、庭木などに害を与えることはほとんどない。

成虫で越冬するので年中見られる。草色に羽のふちが黒く、背中に小さな円い斑点が規則的についていて、おもしろい。

あまり逃げないが、危険を察知すると横に這って葉っぱの裏などに隠れようとする。それでもだめだと思うと飛んで逃げる。しかし飛翔力はあまりないので数メートル程度しか移動せず、でどこかに行ってしまうという事はない。

幼虫は白からレモン色で羽がなくて結構美しい。残念ながらまだ撮影できていないが、また紹介したい。愛嬌のある庭の生き物である。


田んぼの学校2010.03.21 自然を食べる会、ソバ打ちなど


田んぼの学校 自然を食べる会 そばうちなど、
参加者約40人 天気雨
悪天候であったが、予想以上の参加者がありました。
今日の日をすごく楽しみにしていたという方もおられました。
これまでそばを打ったことのある人、手を上げてと聞いてみたら、一人も手が上がりませんでした。
良い体験をしてもらえそうです。楽しく打って、とにかくそばを食べるのだということで取り組みます。
コウノトリ舞い降りる六方田んぼ、中谷営農組合作のそば粉と、日高町のだんごの粉を使っての粉物大会。

なかなか楽しそうですね。
そば粉100%で打ちました。水加減が難しくて、少なめ少なめでこねるのがコツ。入れすぎるとべとべとになってしまいます。べとべとになったらそば粉を足します。こういうやり方は、あまり正しいやり方とはいえません。

麺棒でまあるく伸ばすのも難しいですが、それほど気にしなくても良いです。
というか、高いレベルは求めてないです。
そばを切るのは、出来るだけ細く切るのがコツです。食べるときのそばの太さで切ると、ゆでたらうどんみたいに太くなってしまいます。でも細く切るのは難しいです。
上手に長くつながったそばに切れていなくてもいいんです。
太く短くても楽しく打ったそばはおいしいのです。

だんごの粉も水で練って丸めます。
こちらの水加減はあまり気にしなくても良いです。
あんこをまぶって食べます。

たっぷりのお湯でゆがきます。

思ったより簡単だなあ、これなら家でも出来るなあ、という感想も聞かれました。
つなぎも入れずに、そば粉と水だけでおおらかに打ったそば、いいですね。
地元産のそば粉でどんどんそば打ちをしてほしいです。
参加者が多かったので、そばもだんごもあっという間に食べつくしてしまいました。
今度はもう少しそば粉を多めに準備したいと思います。
そばつゆは、鳴海理事の自家製です。
最後におまけです。

K主任研究員はシカの頭骨標本作成に余念がありません。
もちろんそばうち作業とは少し離れた場所で行っています。
市民研ではシカもよく食べますが、シカもそばもだんごも、みんな生き物です。
今回の写真は、すべて高橋理事が魚眼で撮影したものです。楽しく迫力ありますね。


アケビコノハ


昆虫綱鱗翅目ヤガ科
 庭にムベが植えてある。常緑なので垣根にするのと、アケビに似た実が目的で植えた。しかし、受粉の関係かほとんど実が付かない。その代わり、毎年アケビコノハというガの幼虫が発生する。

 アケビコノハはガの仲間であるが、ケムシではなくイモムシである。ケムシはあまり好きではないがイモムシは好きだ。すべすべのお肌。

 アケビコノハの幼虫は宇宙生物エイリアンのような姿で、よく見ると美しい。成長するとかなり大きくなり、終齢幼虫はぼってりとしてさわり心地もなかなかである。シャチホコのようになってじっとしている。

 コバルトブルーの斑点も美しいし、目玉模様が迫力である。蛇の目に似ているので、食べに来た鳥をこれで威嚇するらしい。庭に沢山鳥がやってくるが、アケビコノハは毎年すくすくと育っており、目玉が効いているのだろうか、鳥には捕食されていないようだ。

目玉模様は、両サイドに二つずつあり、前側のほうがはっきりした丸で、後ろ側は丸が欠けていたり力強さがあまりなかったりする。
個体ごとに形が違う。

庭の垣根に絡ませているムベは、実の収穫にはまったく役に立っていないが、冬場も葉っぱが落ちないので垣根の役には立っている。また、アケビコノハの観察のために植えるのも良いと思う。



(通草木葉)


市民フォーラム「外来種が増えて何か困るの?」

*皆さま
 *市民研から協議会に提案して以下のフォーラムを実施することになりました。
 たくさんの方に来ていただけたら幸いです。
市民フォーラム「外来種が増えて何か困るの?」
と き  2010年2月28日(日)13:00~16:30
ところ  豊岡市民会館 大会議室(4階)
 「外来種が増えて大変だ」という話をよく聞きます。でも、花壇の花の多くは、外国生まれの花たちです。
道ばたには、セイヨウタンポポ、オオイヌノフグリ・・・と外来種が普通に生えています。
 身の回りにあふれる外来種を見ていると「外来種が増えて何か困ることがあるの?」と素朴に思います。
こんな疑問に答えるところから始めて、具体的な対処策までを教えていただく会を企画しました。どうぞ気軽にお越し下さい。
<プログラム> 13:00 開会あいさつ 13:10~14:20 基調講演 細谷和海氏(近畿大学農学部 環境管理学科 水圏生態学研究室 教授) 「ブラックバスはなぜ悪いのか」   今、円山川では、緊急治水対策と並行して自然再生事業が行われています。 自然再生では湿地をたくさん作って魚の再生産も狙っています。外来魚の影響はないのでしょうか?魚たちの生態系を健全に保つにはどうすればよいのでしょうか? 14:30~16:10 報告 報告1 稲葉一明氏(兵庫県森林動物研究センター 専門員) 「今、円山川のアライグマ、ヌートリアは、・・・・」  ヌートリアは蔓延、アライグマも見られるようになって来ました。円山川水系の現状と今後の懸念について話していただきます。       報告2 佐竹節夫氏(NPOコウノトリ湿地ネット 副代表) 「ハチゴロウの戸島湿地、外来種と闘う!!」(仮題)   外来種の見本市?戦いの最前線、ハチゴロウの戸島湿地の日々は、・・・       報告3 国土交通省豊岡河川国道事務所より 「円山川の外来種、アレチウリを中心に」   浅見佳世氏(株式会社里と水辺研究所、兵庫県立大学 客員准教授) 「猪名川の外来種対策の実際(植物を中心に)」   猪名川ではすでに市民による外来種駆除が始まっています。その活動を中心に円山川の植物の特徴も併せて話していただきます。 ※先着70名様に外来種関連の小冊子を3種類、無償配布します!


田んぼの学校2010.02.21 アカガエル調査

カエル調査 32人
とてもよい調査ができました。
郷公園内の公開ゾーンのすべてのビオトープを数えました。
約900個の卵塊を確認。
2000個体ぐらいの成体がいると考えられます。
成体はヤマアカガエルの死体1のみ。
本当は祥雲寺の田んぼを調べたいのですが、小さな子どもたちには無理がありますので、郷公園内にしました。冬期湛水がアカガエルの産卵にどのような影響があるのか、興味があります。たぶん、祥雲寺では、効果は限定的。
アナグマとシカ肉のブレンド鍋は、おいしかったです。
1時間ぐらいかけて、ビオトープの水漏れを応急修理しました


ヤマブシタケ


ヤマブシタケ (ヒダナシタケ目サンゴハリタケ科サンゴハリタケ属)
Hericium erinaceus (Bull.) Persoon
(山伏茸)
 外見に特徴があるキノコである。傘を作らずに、ヒダでもアミ目でもなく針を垂らしたような形になっている。若いときは真っ白で徐々に肌色になる。傘からヒダではなく針を垂らすキノコはいろいろあるが、傘を作らないでいきなり針を垂らしていることころがこの仲間の特徴である。
 ヤマブシタケという名前の由来であるが、山伏が蓑を背負った形に似ているから、、、、と思っていたが、山伏が着る衣の胸飾りに似ているからというのが正しいようだ。山伏が胸につけているあのボンボンさんのことだ。
 秋、広葉樹の枯れ木に発生する。固めのスポンジ状で、握ると水が滴り落ちた。多少苦いものもあるようだが、私の食べたものは温和な味、特においしいということもないが普通に食することが出来た。
 このキノコは漢方薬で使われており、「D-トレイトール」などの抗酸化物質を沢山含んでおり、薬効優秀であるらしい。少し怪しい健康食品?として、乾燥粉末や錠剤など販売されている。「血液中の脂質量を調整し、血中糖分量を削減する効果の可能性がある」とか、「βグルカン含有量が高いことで知られている」とか、「SOD数値が高く全食品の中でもトップクラスである」とか、ヤマブシタケに含まれる成分の「ヘリセノン」は、「認知症の特効薬として近年注目されている」とか、「免疫力を調整するきのこ」とか、なにやらよく分からないが、さまざまな効果があるようなことが書いてある。しかし医薬品ではないので具体的な効用を書いては違反になるのだろうし、わざわざ「規定により具体的には書けないので良しなにご賢察願いたい」とまで親切に説明してあったりする。
 ある健康食品サイトによると「ヤマブシタケは日本や中国の深山幽谷で、稀に発見されるキノコ」だそうだ。確かにあまり見かけないキノコではあると思う。ただし、僕はコウノトリの郷公園の山でも見たので、深山幽谷にしか発生しないことはないであろう。ちなみにこのキノコは栽培可能で、豊岡市内でも栽培されていたことがある。

 その姿、名前、さまざまな薬効が期待できる成分、、、、心と健康の不安な現代において、野生キノコと縁のない方々には健康食品として粉末や錠剤を購入する人もいるんでしょうね。
 山伏茸 (山伏のようなキノコ)
 写真:平成20年11月3日 豊岡市 コウノトリの郷公園内の山中


田んぼの学校2010.01.17 里山観察、足跡や野鳥など、雪遊び


参加者約35名 晴れ

雪が沢山ある中でしたが、午前中は良いお天気で暖かかったです。絶好の観察日でした。
生態展示室で高橋主任研究員から本日観察できそうな鳥の説明を受け、みんなで東公開ゲージのほうへ向かいました。
その往復で、野鳥が15種類を確認、シカの足跡を見たりしました。

アオサギが冬季湛水水田の畦で並んで休憩していました。
セグロセキレイが鳴いていました。
東公開ゾーンではタシギがゆっくりと観察できました。


コウノトリも飛びました。

ジョウビタキのメスがいました。

遠くのほうで、ノスリがトビと追いかけ合い?をしてました。
ホオジロやシロハラもいました。
コウノトリ文化館に戻り、雪遊びをしました。ツララやそりで遊びました。

お昼は、ヨコワ、松葉ガニ、野菜などの入った大鍋と、カニやたらの白子などの混ぜご飯のおにぎりを食べました。
観察された野鳥は15種類でした。カラ類の混群が見れなかったり、種類は少なかったです。
アオサギ、クサシギ、タシギ、ノスリ、ハシボソガラス、ツグミ、ジョウビタキ、セグロセキレイ、キセキレイ、タヒバリ、コウノトリ、ホオジロ、トビ、ヒヨドリ、シロハラ


豊作のブナ


昨年(平成21年)4月にブナの開花について報告したが、昨秋は予想通りブナが大豊作であった。来日山頂付近のブナ林。9月21日である。
小さなイガの中に2~3粒ほどの実が入っている。

シバグリやシイの実を小さくしたような感じで、渋みはなく殻を割ってそのまま食べることも出来る。


豊作の年は大量に実が付くので、クマなどの大型獣にとっても貴重な栄養源になるようだ。

ブナというとかなり標高が高いところにあるので、簡単には見られないように思われるかもしれないが、林道整備で今では車で簡単に見ることが出来る。

 兵庫県の調査でも昨秋はブナ、ミズナラ、コナラが大豊作という結果が出ている。
http://www.wmi-hyogo.jp/tyuui/tyuui09_2.pdf
 確かにコナラなどのドングリ類も豊作で、山を歩くとドングリがざくざく状態のところが沢山あった。10月に有害捕獲されたシカの胃の中を見る機会に恵まれたが、ドングリが沢山入っていた。写真は10月11日、豊岡市内の里山。

 液果類も豊作だったように思う。

これはヤマホウシ、大粒でおいしかったです。

 これは10月12日、別の場所のヤマナシ。私が見た数本なのでサンプル数は少ないですが、みんな良く実が付いていました。 やはり昨秋はクマの出没が少なかったですね。


ナメコ


ナメコ (ハラタケ目モエギタケ科スギタケ属)
Pholiota nameko (T.Ito)S.Ito et Imail in Imai
(滑子)
 西日本の深山キノコの王様はナメコと言われている。私は豊岡周辺の低山を中心にキノコを見ているので、大量にナメコを採ったことがない。村岡や小代の人から大量のナメコを採った話を聞いてはうらやましく思っていた。

 この秋、氷ノ山山系へナメコ採取に連れて行ってもらう機会に恵まれた。11月下旬である。時期的にもう遅いかもと言われていたが、まだ残っていた。ブナ林のブナやミズナラなどの倒木朽木、発生の仕方が豪快である。倒れていない朽木では、手が届かないので口惜しい。倒木なら採取しやすく嬉しい。
 倒木の場合、ナメコのヌメリのため、木の葉の破片や腐葉土などのごみが付きやすい。だから、ごみの付いていないものだけ選んで、付け根を鋏で切って、直接袋で受ける。ごみの付いているやつは絶対に入れない。そうすれば、家で食べるときに掃除をしなくて速やかに食することができるのだ。これも大量に発生しているから出来るのであって、贅沢なことである。簡単にレジ袋半分ほど採取できた。

 野性のナメコのおいしさは、発生途中の小さな栽培品と比べ物にならない。ボリュームもあり、ヌメリ食感、歯ごたえ、味、香り、すべてにおいて数段勝っている。食菌としての優秀さについては多くを記載する必要はなかろう。
写真:平成21年11月29日 香美町村岡区


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