祥雲寺巣塔で初繁殖
2016年2月12日、朝から祥雲寺巣塔のペアの様子が気になりました。オスが枯草を集めて巣内に運び上げたり、メスが長い時間伏せる様子から、産卵が始まったのではと感じました。昼休みに西自然観察路に入り、尾根の先端から観察を始めました。オスが長い時間伏せていて、下の田んぼで採餌していたメスが巣に戻ったところがこの写真です。巣台がしっかりしているせいか、巣材の枝の量はかなり少ないです。産座はしっかり形成されています。
近くを別のコウノトリが接近し、2羽が警戒のクラッタリングを見せました。メスの足元に卵が1つあるのを確認し、下山後、コウノトリの郷公園に報告を入れました。郷公園職員による追確認が行われ、公式に1卵確認が発表となりました。
その日のうちに、繁殖巣塔へ近づかないよう立て看板が設置され、来園者の協力を呼び掛けています。
繁殖ペアは昨年まで、西に隣接する庄境巣塔(三江小学校校庭内)で子育てをしていましたが、今期になって祥雲寺巣塔で繁殖行動を見せるようになりました。J0012メス7歳×J0021オス6歳です。
抱卵期間は約1ヶ月、続く育雛期間は約2ヶ月。順調にゆけば3月下旬にはヒナが生まれ、5月下旬には巣立ちを迎えます。祥雲寺巣塔周辺は、たくさんの野外コウノトリが集まる場所であり、毎日たくさんの来園者の往来があります。ストレスの大きい祥雲寺巣塔での繁殖は難しいとされてきましたが、今回、このペアが繁殖を始めたことで今後の経過が注目されます。
来園・来館の皆様には、繁殖巣塔に近づきすぎたり、長時間レンズを向けたりといった行為を避け、このペアができるだけ安心して繁殖を続けてゆけるよう、ご配慮をお願い致します。なお、コウノトリ文化館では、館内から営巣状況をスコープで観察してもらえるよう準備をしています。