稲葉 一明 一覧

アオバハゴロモ


アオバハゴロモ カメムシ目アオバハゴロモ科(Geisha distinctissima)
青羽羽衣

 ウドの幹に、白いワタのようなものが沢山くっついている。前回報告したアブラムシの仲間のワタムシではない。ワタがもっと大きいのだ。よく見るとワタの中に虫らしきものが入っているような塊があり、さらによく見ると、やはりムシである。触ってみると勢いよくジャンプするので驚いてしまう。ワタの中に結構しっかりした虫が入っているのだ。
 アオバハゴロモという昆虫の幼虫である。

 彼らは、体から蝋物質を分泌し、束のようにしてあるいは粉末を全身にまとっている。真っ白純白である。こいつが止まっているウドにも綿状のものが付着して、ウドという植物はこのように白い綿状のものを茎についているのが通常なのかと錯覚してしまう。幼虫は集団でいることが多いので、ウドは白いワタまみれになっている。

 7月、気がつくとウドに白いワタが沢山目立つようになり、次の週に見てみると羽化している。アオバハゴロモの成虫。薄い緑色が美しい。初めてこいつを見たときは、枝豆を連想した。ぱっと見には、つるつるの薄緑の枝豆みたいできれいな虫であるが、クローズアップで近づいて見てみると、おいしそうではない。

 柑橘や茶、庭木などにも発生し、成長を害されるので害虫ということで、アオバハゴロモについて調べてみると駆除方法等が解説されている。でも個人的には駆除しようなんて気にならない。好きな虫なのである。
 学名のGeishaとは芸者のこと。ぱっと見には美しく、よく見るとお化粧をしているようにも見える。薄緑色はおしろいをしたようにも見える。羽の後端を中心に紅をさしたようになっている。白いワタを身にまとってぴょんと跳ねる幼虫が芸者を意識させたのかもしれない。いずれにせよ命名者のセンスを感じる。アオバハゴロモである。


ワタムシ


ワタムシの一種 (カメムシ目・腹吻亜目・アブラムシ科)
綿虫

 庭で葉っぱの裏を見てみると、白いワタのようなものが沢山くっついていた。隠れるように反対側に移動するものがいる。少し動いて飛び立つものもいる。それが綿ぼこりのように漂っている。

 この生物は何なのかと気になっていた。調べてみると、どうもワタムシという昆虫の仲間らしい。リンゴなど果樹の害虫としてもその関係の人たちには有名な生き物。アブラムシ「アリマキ」の仲間であった。

アブラムシは、羽のない状態で沢山増殖してコロニーを作る。アブラムシの仲間に、ワタのような蝋物質を分泌して、それを身にまとって生活しているものがある。これがワタムシの正体である。アブラムシの飛ぶ力は弱いので、綿のような蝋物質を身につけているので飛びにくくて空気の流れに身を任せ、綿ぼこりのように漂う。北海道ではユキムシと呼ばれ、これが見られると間もなく初雪が降るということで親しまれているそうです。

たしかに、沢山くっ付いている様子はアブラムシの仲間であることを連想させるし、実際にテントウムシの幼虫に捕食されてもいる。白い綿状のものが美しく不快感はあまりないが、逆光で見ると綿が透けて虫の胴体や排泄物が分かり美しくない。

アップで観察すると、小さな羽根が見られ、綿の中にアブラムシがいることが分かる。種によってはリンゴなどの果樹に被害を出すが、庭木に付くものは大した被害は出ないようである。
種類を特定する自信はないが、庭に勝手に新しく生えてきたエノキについていたことや、インターネットのサイトで見る限りよく似ている事からエノキワタアブラムシ(Shivaphis celti Das)ではないかと思う。


田んぼの学校2010.07.18 小川で魚とり


参加者約75人 晴れ
気温は高いが、風はさわやかである。

東公開ゾーンの東屋を基地にして鎌谷川で採集。
やる気満々の子供たち多数。
確認された生き物は以下のとおり(抜けているもの沢山あると思います。)
カワムツB  フナ カマツカ ムギツク ヨシノボリ類 メダカ オイカワ ドンコ ドジョウ タモロコ
モクズガニ サワガニ ミナミヌマエビ アメリカザリガニ
マルタニシ カワニナ 
シオカラトンボ オオシオカラトンボ ウチワヤンマ ハグロトンボ コシボソヤンマヤゴ? ヤマトンボ類ヤゴ ギンヤンマヤゴ カワトンボ類ヤゴ トンボ型ヤゴ ガムシ マツモムシ
ヘビトンボ幼虫(マゴタロウ) ゲンゴロウ類幼虫 カゲロウ類幼虫
(おまけ)カブトムシ
ドンコ

カマツカ

オイカワ

カワトンボ類ヤゴ

ヤマトンボ類ヤゴ

ヘビトンボ幼虫

カゲロウ類幼虫


カブトムシ(おまけ)

田んぼで出てくるやつらとは少し違う川の生き物たち。前の日からもんどりを仕掛けて、少し大きなモクズガニ、カマツカが入ってました。

猛暑とスタッフも疲れ気味だったので、追い込み漁はしませんでした。
鎌谷川の流れは冷たいが、田んぼビオトープから流れてくる水は温かい。
魚たちとモクズガニは文化館の生態展示に。あとは逃がしてやりました。

大鍋はシカとイノシシと地元野菜。コウノトリ米でイサキとキンメダイで少し味をつけたごはん。


田んぼの学校2010.06.20 田んぼでトンボやカエル、メダカ

晴れ、参加者約150人
 
 蒸し暑い日になりました。学P80人の参加もあったので、久しぶりに小学生の多い田んぼの学校になりました。

 この時期はトノサマガエルのオタマジャクシが大きくなり、モリアオガエルの卵がぶら下がっています。ゲンゴロウ類は田んぼへ飛んでいき、成虫はあまり見つかりません。


 ウチワヤンマヤゴ
 トンボ型、イトトンボ型のヤゴ類が沢山います。ヤンマ型はほとんど出てきませんでした。珍しいところでは、ウチワヤンマのヤゴが出ました。成虫は郷公園の周りでよく見ますが、ビオトープでも繁殖していたようです。


 ヒル類が2種。

 大鍋はブリと地元野菜。300人鍋での対応です。


出張田んぼの学校、ホタル調査

上田代表理事対応
6月13日気比公民館
  川崎さんのビオトープ
  市民研の初期、生き物調査に参加されたメダカの大好きな方です。
  クロイベンケイかなあと迷うカニがいた。マメゲンゴロウがここにはいる。
6月19日福住公民館
  奥山川
  魚類はヨシノボリとシマドジョウしかいない。
  カジカガエル成体とたくさんのオタマジャクシ。
  ヘビトンボやトビケラ
6月24日日高小3・4年
  田んぼビオトープ
  小学校の先生の研修会も兼ねる。
  シュレーゲルの上陸個体かたくさん。
  ここの小学生はシュレーゲルアオガエルをよく知っていてビックリ。
ホタル観察会
6月10日豊高前から妙楽寺
  ゲンジが少し
  神社のところは少ない
6月15日コウノトリ文化館(10周年記念行事)
  雨なのにゲンジボタルがいた。
  ヘイケも少し。
6月17日 市役所 新川水路から亀山水路
  新川3匹、亀山4匹の計7匹  少ない!


アリグモ

アリグモ (クモ目ハエトリグモ科Myrmarachne japonica)
蟻蜘蛛

 アリにそっくり。姿かたちも動き方もそっくり。ちょうどクロヤマアリという種に似ている。歩き回っているときはほとんど区別が付かない、というかアリに見える。
よく見ると足が4対ある。あごが大きい。昆虫は足が3対でクモ類は4対である。一番前の一対は顔の上に持ち上げて、アリの触覚のように見せる行動をとる。他の生き物に似せる形態や行動を擬態という。

 このアリグモについては、アリにそっくりになることで、どのようなメリットがあるのかよく分かっていないらしい。アリに自然に近づいてアリを捕食するためという説があったが、アリを捕食することは基本的にないということがわかり、アリに似せて身を守るということも効果があるのか疑問。
写真は我が家の庭でシャクヤクの葉っぱにいたもの。普通のアリもたくさん歩いている。アリグモは良く見かけるので、但馬では普通にいるのではないかと思う。顔を見るとアリでないことがよく分かる。すごい顔をしている。

アリグモに限らず、この擬態というやつ、どうすればこんなにそっくりに進化するのだろうか。葉っぱや枯れ枝とか周囲の環境に似せたやつ、他の強い生き物や毒のある生き物に似せたやつ。特別な意志に基づかず、単に偶然の積み重ねと淘汰の繰り返しで起こりえることとは、私などにはどうも納得しがたい。


アカテガニ


アカテガニ (十脚目 イワガニ科Chiromantes haematocheir)
赤手蟹

円山川の下流域の石積み、土手、川に近い山の中などにいる。石の隙間や土の穴に住んでおり、水辺からかなり離れた所まで入り込んで生活している。よく似た仲間にクロベンケイガニもいるが、より水に依存しておらず、アスファルト道路でたむろしていたり、庭を歩いていたり、思わぬところで見かけることがある。雑食性で、稲の葉っぱを食べたり、川沿いの田んぼを徘徊して土手に穴を開けている。

 名のとおり手が赤いのであるが、体色はバリエーションに富んでいて、全体的に赤いもの、黒っぽいもの、黄色い部分が目立つものなどさまざまである。
 主に淡水域で生活しているが、淡水に完全対応しているわけではなく、ずっと水につけておくと溺れるらしい。

真夏の満月や新月の大潮の時に、河口部に移動しいっせいに産卵するとのことであるが、私は残念ながらまだ見たことがない。幼生時には海水が必要で、そのため河川の下流域でしか生活していない。塩分のある河口域で過ごした幼生は、やがて川を上っていく。回遊しているのだ。カニ類で完全に淡水域に進出しているかにはサワガニしかいない。
 アカテガニは比較的簡単に飼育できる。


田んぼの学校2010.05.16 田んぼでオタマ、タイコウチなど


晴れ、参加者約130人
昨年、一昨年と5月の参加者は少なかったですが、今年は久しぶりに100人を越えました。
最近は小学生よりも幼稚園以下の幼児の参加が多いです。
また、初めて参加という人も多い。

生き物の特徴としては、ヤンマ型ヤゴがほとんど出なかった。環境の変化でしょうか。
アカガエルのオタマジャクシも比較的少なかった。こちらはコウノトリが食べているのでしょうか。
トノサマガエルの卵塊が目立った。また、シュレーゲルアオガエルの卵塊も好調でした。

シュレーゲルアオガエル。
トンボ型ヤゴ、イトトンボ型ヤゴ、ヤンマ型ヤゴ(極少)、オニヤンマヤゴ
クロゲンゴロウ、コシマゲンゴロウ、コミズムシ、タイコウチ、オオコオイムシ、ガムシ、ヒメガムシ、
トノサマガエル、アマガエル、シュレーゲルアオガエル、アカガエル類オタマジャクシ
ヒル(ウマビル、チスイビル、もう一種類)、アメンボ類、マツモムシ、
メダカ、ドジョウ、ミナミヌマエビ
シオヤトンボ、オオイトトンボなどトンボ類も結構飛んでました。
カメやヘビは出ませんでした。
抜けているのがあったら、追加してください。

観察が終わったら逃がしてやりました。
大鍋は、参加人数が予想より多かったので、急遽300人鍋に変更しました。
アサリと野菜のあっさりした鍋でした。
天候にも恵まれ、楽しい田んぼの学校でした。


ホソミオツネントンボ


ホソミオツネントンボ
 (トンボ目(蜻蛉目)均翅亜目 アオイトトンボ科Indoletses boninensis)
 成虫で冬を越すトンボは日本に3種類しかおらず、そのうちの1種がこのホソミオツネントンボ。オツネンは越年がなまったものらしい。ホソミというのは近い仲間のオツネントンボよりも少し細いのである。
私は一度だけしか見たことがないが、冬にこのトンボがいる水辺の周辺の林縁部などの木の枝に越冬個体を見つけることが出来る。越冬中は木の枝のような地味な色だが、水辺に出てくるときはきれいなブルーになっている。美しいコバルトブルーが少しべっとりした感じで特徴的である。ほかに紛らわしい種はない。

 春先に最も早く姿を現すトンボのひとつで4月中旬ごろから見ることが出来る。春に交尾、産卵をして7月から8月に次の世代が生まれ、その個体が越冬するのが一般的なパターンのようだ。夏に成虫になり次の夏まで生きているので、成虫でもっとも長く生きるトンボということだそうです。

 田んぼ、ビオトープ水田、湿地などで見られます。特に珍しいということはないと思います。


田んぼの学校2010.04.18 タンポポ探し、春の草を食べる


田んぼの学校2010.04.18 タンポポ探し、春の草を食べる
晴れ、参加者約50名
とても良いお天気で絶好の田んぼの学校日よりでした。
初めての参加の方が沢山。知人の紹介とか、市の広報を見てという方が多かったです。あと、熱心な常連さんも。

子供たちがすごく低年齢化してます。小学生よりも幼稚園、保育園、0才から3才ぐらいの幼児が多かったです。タンポポ調査は少し歩いて法花寺まで行くので、小さな子を連れたお母さんにはちょっときつかったと思います。
菅村副代表の解説で、野の花の話し、里山の話し、ビオトープの話し、休み休み在来タンポポの沢山ある法花寺を目指します。

シロバナタンポポ
シロバナタンポポ、ヨモギ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、ウマノアシガタ、カンゾウ、オオアカウキクサ、いろんな植物を観察しながら歩きます。

クシバタンポポ
法花寺で、レモン色のヤマザトタンポポ、クシゲタンポポなどの在来タンポポを観察しました。

郷公園へ帰還して、イノシシとシカのつみれの大鍋と、ミツバ、ユキノシタ、カキ、タラノメ、コゴミ、これらの山菜と、シカ、イノシシのお肉の天ぷらを食べました。
偶然市長さんご夫婦も来られたので、天ぷらを試食してもらいました。

解散後も水路で生き物観察をする子もいました。
のんびりと良い観察会でした。


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