但馬の昆虫 一覧

センチコガネ


コウノトリ文化館の裏で作業中に、シカの糞の近くでセンチコガネが見つかりました。動物の糞を食べるコガネムシです。もう活動を始めているようです。

近くではタラが芽吹いています。おいしそうです。

今年度から、毎週火曜日の午前中を作業日とします。ビオトープの整備を中心にしますので、興味ある方は参加してください。


ダイリフキバッタ


ダイリフキバッタ バッタ目バッタ科
(Callopodisma dairisama )
内裏蕗飛蝗

フキバッタというバッタの仲間がいる。特徴的なバッタである。翅(はね)が小さく退化しているため、飛び跳ねることは出来るが、飛翔力がない。つまり移動能力に乏しい。そのため各地域で分化が進んでいると考えられる。
多くのバッタ類の食草は単子葉(イネ科、グラス類など)であるが、フキバッタは双子葉植物である。つまりフキフキバッタの「フキ」は「蕗」が由来である。フキ以外の双子葉も多くが食草になっている。

今回報告する「ダイリフキバッタ」は、フキバッタ類の中でもユニークなものである。
長野県から岡山県に分布するようであるが、極めて局地的である。明るく開けた人為的な中規模攪乱環境に棲息する希少種である。他のフキバッタ類と比較し、陽当たりの良い場所を好む。成虫は夏季に見られる。一属一種。
人為的な中規模攪乱地域というのは、定期的に野焼きをするとか草刈を行うなど、人間の営みが生態系の一員として機能していた状態があって維持されるもので、残念ながら、人間の自然界の中での営みが極端に少なくなってしまった現在では、非常に稀な環境といえる。そのため、里山や里地、そこを中心に生活している生き物の多くが絶滅の危機に瀕している。ダイリフキバッタもそのひとつである。

但馬地域におけるフキバッタ類については、あまり調査がされておらずよく分かっていない。コウノトリ市民研究所の上田代表の所有する標本には、数点のダイリフキバッタが確認されているが、かなり以前のもので、現在でも棲息しているかははっきりしていなかった。この5月に、鳥取県立博物館の川上靖先生から、存在の可能性の高い地域を紹介いただく機会に恵まれ、その場所の詳細な調査したところ、あらためてダイリフキバッタの生息を確認した。
ダイリフキバッタは特徴的なので、同定は比較的簡単である。
成虫であれば、翅だけで簡単に同定できる。「背中側で翅が明確に離れている」。ダイリフキバッタの翅は、体の側面に小さく生えているだけで、背中側から見ると翅が明確に離れており、背中が丸出しである。兵庫県内においてこの特徴を持つものはダイリフキバッタだけである。

また、幼虫については、「背中に黒い筋が2本走る、というよりは黄緑色の1本の筋が走る」ということで見分けられる。これは非常に特徴的な色彩である。

ダイリフキバッタは、他のバッタに比べて飛翔力が乏しいので草むらの中では見つけにくい。しかし、一度見つける観察や撮影は容易である。あまり積極的に逃げようとせず、強く刺激しなければ、葉の裏に回り込んで隠れようとする程度である。

 余談であるが、和名の「ダイリフキバッタ」の由来は学名dairisamaから来ていると考えられる。学名はScudderという人が記載している。1895年 にScudderがどういう理由で「dairisama」と命名したかは分かっていない。川上先生によると、「本種は、日本固有種で、Scudderは、日本にいる種として記載しているので、天皇(=内裏様)を現地語の読みで命名した可能性は十分に考えられると思います。また、dairisama はラテン語の表記としてもおかしいので現地語の表記であると思われます。」とのことである。当時の日本を外国人から見た場合、天皇陛下の存在は非常に興味深いものであったろうし、あるいは雛人形などから内裏様を連想したかもしれない。ダイリフキバッタの特徴的外貌からこれらを連想させるものがあるのかもしれない。
いずれにせよダイリフキバッタは偉大である。少なくとも兵庫県RDBには記載すべき種であろう。大阪府や鳥取県では記載されている。


トゲアリ


トゲアリ  ハチ目・アリ科・トゲアリ属
Polyrhachis lamellidens
棘蟻

森林内を歩いていると、木の幹が黒くなっている。よく見ると多数のアリの塊である。ミツバチの分蜂のようなものであろうか。



このアリを良く見てみると、胸部は褐色で大小4対8本の棘が生えている。調べてみるとトゲアリであった。

やや稀と記載されている資料があったので、次の週もわざわざ同じ場所に観察に行った。普段は注意していなかったアリであるが、このアリの特徴を覚えると、その辺の山でも良く見かけることが出来ることが分かった。

但馬では普通種だと思う。大型の山に棲むアリで、胸部の褐色と棘で簡単に見分けることが出来る。

背中の棘はかなりいかめしい。どんな役に立っているのか不明である。自分の体に刺さりそうで、その関係か腹部は常に下を向いている。
近くで観察しても人間には無関心なようで、今のところ噛まれたりしたことはない。

体長7~8 mm。巣は朽木などに作られる。生態的にはクロオオアリ、ムネアカオオアリなどに一時的に寄生するのが特徴である。トゲアリの新女王アリが他のアリの巣に侵入し、そこの女王を殺して居座り、その巣にいる働きアリに自分の子どもを育てさせる。元からいたアリがやがて死滅すると、トゲアリ単独の巣となる。これを一時的社会寄生という。


テントウムシの越冬


阿瀬渓谷を歩きました。今年は紅葉にはまだ少し早いようです。気温も上がり、小さな虫がたくさん飛んでいます。よく見るとテントウムシです。日当たりのよい大きなスギの表面に集まっているようです。今日はいいものを見たと思って歩いていると、今度は岩の表面に無数のテントウムシがいます。幅数メートルの岩肌に、すごい数です。どこからこんなに集まってきたのかと思うぐらいいます。テントウムシは、日当たりのよい岩の割れ目や樹皮の隙間などで越冬します。今日のような暖かい日は、越冬場所探しの大移動中なのかもしれません。

いろいろな模様のテントウムシが見られますが、すべてナミテントウのようです。ここで模様ごとにカウントしたら、数千レベルのいいデータになるのにと思いましたが先を急ぎました。

よく見るとカメノコテントウが混じっていました。カメノコテントウはクルミハムシの幼虫を食べるのので、オニグルミの多い阿瀬渓谷ではたくさんいてもおかしくありません。でも、こんなに簡単にたくさんのカメノコテントウを見たのは初めてです。


オオイトトンボの潜水産卵


オオイトトンボの潜水産卵
オオイトトンボについては、2007-7-1に紹介しています。
http://www.kounotori.org/blog/index.php?c=1-15&page=2
ここで、「トンボが水の中に入って行う潜水産卵も観察できます。」と記載していますが、その後撮影に成功しているので紹介します。

オスとメスがつながって、水辺の植物につかまり産卵体制に入ります。
コウノトリの郷公園のビオトープ水田で観察することが出来ました。
徐々に後ずさりするように水中に入っていきます。どのくらい水中に入っていくかは、その時々によって違うようですが、このときはメスが完全に潜水し、しばらくするとオスまで完全に水没しました。なかなか出てくる気配がありません。
トンボは空を飛ぶので水中に潜るのは意外な感じもしますが、幼虫(ヤゴ)の時代は水中の生き物なので、そう考えると不思議でもなんでもない行動かもしれません。もともと水と切っても切れない縁なのです。
オオイトトンボは兵庫県レッドデータ2003では「Cランク 準絶滅危惧種」とされています。豊岡盆地では比較的観察しやすいイトトンボだと思います。
クロイトトンボの潜水産卵については、こちらで報告しているものが有りますので、ご参照ください。http://www.kounotori.org/blog/index.php?e=33


ニホンミツバチの分蜂


ニホンミツバチの分蜂
 豊岡市街地のある庭にミツバチの塊が出現した。日本ミツバチの分蜂である。
 ミツバチは一匹の女王バチと多くの働きバチが群れで巣を作って生活しているが、新しい女王バチが生まれると古い女王バチは働きバチを連れて巣を出て行き、新しい巣へ引越しする。その引越し作業中に沢山のハチが塊を作った状態になり、それを分蜂球という。

この状態は一時的なもので、先に働きバチが巣を出て、女王バチと合流し分蜂球となり、さらに巣を作るのに適した場所へ移動していくらしい。ニホンミツバチは、変に刺激してやらなければあまり人を刺さない。分蜂球を近くで観察していても、攻撃してくるような気配はない。だから、もし庭に分蜂球が出来たとしても大騒ぎする必要はない。そっとしておいてやるべきである。
分蜂球が出来たら、その近くに巣を作りやすいミツバチ巣箱的なものや、建物の屋根裏などちょっとした隙間があれば、巣を作る可能性がある。だから日本ミツバチの巣が出来たら困るのであれば要観察である。

 多くの場合は春から夏にかけて分蜂は起きるが、秋に出現することもある。写真は10月16日。飼育されているニホンミツバチの場合は、この分蜂が始まったら巣別れの群れを追いかけて分蜂球を確認し、それを捕獲して別の巣箱に入れて、巣箱を増やしていくようである。
 なお、飼育ミツバチの主流はセイヨウミツバチだが、ニホンミツバチを趣味で飼育している人もいる。但馬でも飼育している方はいらっしゃるようである。

ニホンミツバチは豊岡市街地でも普通に見られ、里山などで野生の巣もよく見かける。
写真
  分蜂球    平成22年10月16日 豊岡市大磯町
  石塔の蜂の巣 平成21年8月16日 豊岡市妙楽寺


スケバハゴロモ?(幼虫)


スケバハゴロモ?(幼虫) カメムシ目ハゴロモ科 (Euricania facialis)
(透羽羽衣)
幼虫である。スケバハゴロモの幼虫ではないかと思うが、もしかしたらベッコウハゴロモかもしれない。あるいは別種かよく分からない。

しっぽのようなタンポポの種のような、、糸状の蝋物質が特徴的である。
成虫になるとはっきりわかるのだが、その後羽化した成虫は確認できていない。しかし、スケバハゴロモの成虫は以前同じ場所で見かけたことがある。

スケバハゴロモは雑木林の周辺で見られるという。我が家の庭は、ミニミニ里山を目指しており、それなりにそれっぽくなっている。成虫と幼虫が同時に見られることも多いようであるが、草とりをしすぎてしまい、少し環境が適さなくなってしまったかもしれない。
庭にいる小さな不思議な生き物である。


アオバハゴロモ


アオバハゴロモ カメムシ目アオバハゴロモ科(Geisha distinctissima)
青羽羽衣

 ウドの幹に、白いワタのようなものが沢山くっついている。前回報告したアブラムシの仲間のワタムシではない。ワタがもっと大きいのだ。よく見るとワタの中に虫らしきものが入っているような塊があり、さらによく見ると、やはりムシである。触ってみると勢いよくジャンプするので驚いてしまう。ワタの中に結構しっかりした虫が入っているのだ。
 アオバハゴロモという昆虫の幼虫である。

 彼らは、体から蝋物質を分泌し、束のようにしてあるいは粉末を全身にまとっている。真っ白純白である。こいつが止まっているウドにも綿状のものが付着して、ウドという植物はこのように白い綿状のものを茎についているのが通常なのかと錯覚してしまう。幼虫は集団でいることが多いので、ウドは白いワタまみれになっている。

 7月、気がつくとウドに白いワタが沢山目立つようになり、次の週に見てみると羽化している。アオバハゴロモの成虫。薄い緑色が美しい。初めてこいつを見たときは、枝豆を連想した。ぱっと見には、つるつるの薄緑の枝豆みたいできれいな虫であるが、クローズアップで近づいて見てみると、おいしそうではない。

 柑橘や茶、庭木などにも発生し、成長を害されるので害虫ということで、アオバハゴロモについて調べてみると駆除方法等が解説されている。でも個人的には駆除しようなんて気にならない。好きな虫なのである。
 学名のGeishaとは芸者のこと。ぱっと見には美しく、よく見るとお化粧をしているようにも見える。薄緑色はおしろいをしたようにも見える。羽の後端を中心に紅をさしたようになっている。白いワタを身にまとってぴょんと跳ねる幼虫が芸者を意識させたのかもしれない。いずれにせよ命名者のセンスを感じる。アオバハゴロモである。


ワタムシ


ワタムシの一種 (カメムシ目・腹吻亜目・アブラムシ科)
綿虫

 庭で葉っぱの裏を見てみると、白いワタのようなものが沢山くっついていた。隠れるように反対側に移動するものがいる。少し動いて飛び立つものもいる。それが綿ぼこりのように漂っている。

 この生物は何なのかと気になっていた。調べてみると、どうもワタムシという昆虫の仲間らしい。リンゴなど果樹の害虫としてもその関係の人たちには有名な生き物。アブラムシ「アリマキ」の仲間であった。

アブラムシは、羽のない状態で沢山増殖してコロニーを作る。アブラムシの仲間に、ワタのような蝋物質を分泌して、それを身にまとって生活しているものがある。これがワタムシの正体である。アブラムシの飛ぶ力は弱いので、綿のような蝋物質を身につけているので飛びにくくて空気の流れに身を任せ、綿ぼこりのように漂う。北海道ではユキムシと呼ばれ、これが見られると間もなく初雪が降るということで親しまれているそうです。

たしかに、沢山くっ付いている様子はアブラムシの仲間であることを連想させるし、実際にテントウムシの幼虫に捕食されてもいる。白い綿状のものが美しく不快感はあまりないが、逆光で見ると綿が透けて虫の胴体や排泄物が分かり美しくない。

アップで観察すると、小さな羽根が見られ、綿の中にアブラムシがいることが分かる。種によってはリンゴなどの果樹に被害を出すが、庭木に付くものは大した被害は出ないようである。
種類を特定する自信はないが、庭に勝手に新しく生えてきたエノキについていたことや、インターネットのサイトで見る限りよく似ている事からエノキワタアブラムシ(Shivaphis celti Das)ではないかと思う。


ホソミオツネントンボ


ホソミオツネントンボ
 (トンボ目(蜻蛉目)均翅亜目 アオイトトンボ科Indoletses boninensis)
 成虫で冬を越すトンボは日本に3種類しかおらず、そのうちの1種がこのホソミオツネントンボ。オツネンは越年がなまったものらしい。ホソミというのは近い仲間のオツネントンボよりも少し細いのである。
私は一度だけしか見たことがないが、冬にこのトンボがいる水辺の周辺の林縁部などの木の枝に越冬個体を見つけることが出来る。越冬中は木の枝のような地味な色だが、水辺に出てくるときはきれいなブルーになっている。美しいコバルトブルーが少しべっとりした感じで特徴的である。ほかに紛らわしい種はない。

 春先に最も早く姿を現すトンボのひとつで4月中旬ごろから見ることが出来る。春に交尾、産卵をして7月から8月に次の世代が生まれ、その個体が越冬するのが一般的なパターンのようだ。夏に成虫になり次の夏まで生きているので、成虫でもっとも長く生きるトンボということだそうです。

 田んぼ、ビオトープ水田、湿地などで見られます。特に珍しいということはないと思います。


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