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オオイトトンボの潜水産卵


オオイトトンボの潜水産卵
オオイトトンボについては、2007-7-1に紹介しています。
http://www.kounotori.org/blog/index.php?c=1-15&page=2
ここで、「トンボが水の中に入って行う潜水産卵も観察できます。」と記載していますが、その後撮影に成功しているので紹介します。

オスとメスがつながって、水辺の植物につかまり産卵体制に入ります。
コウノトリの郷公園のビオトープ水田で観察することが出来ました。
徐々に後ずさりするように水中に入っていきます。どのくらい水中に入っていくかは、その時々によって違うようですが、このときはメスが完全に潜水し、しばらくするとオスまで完全に水没しました。なかなか出てくる気配がありません。
トンボは空を飛ぶので水中に潜るのは意外な感じもしますが、幼虫(ヤゴ)の時代は水中の生き物なので、そう考えると不思議でもなんでもない行動かもしれません。もともと水と切っても切れない縁なのです。
オオイトトンボは兵庫県レッドデータ2003では「Cランク 準絶滅危惧種」とされています。豊岡盆地では比較的観察しやすいイトトンボだと思います。
クロイトトンボの潜水産卵については、こちらで報告しているものが有りますので、ご参照ください。http://www.kounotori.org/blog/index.php?e=33


スッポン


スッポン (カメ目 スッポン科Trionyx sinensis japonicus)

 野生のスッポンはあまり見かけないが、豊岡盆地にも棲息している。田んぼの学校で郷公園の前の鎌谷川でも見つかったことがあるし、六方田んぼで捕まえたこともある。スッポンは食用として各地で養殖されているが、野生のスッポンがどのくらい生息していて、絶滅の危険があるのかどうかはよく分かっていないようである。しかし、豊岡盆地ではしっかりと生息しているといってよいと思う。

 生息場所はイシガメやクサガメとほぼ一致するようであるが、これらのカメと違って甲羅が柔らかく、顔がとがっていて、間違えようがない。肉食であごの力が強く、一度噛み付いたら何があっても放さないと言われるように、うっかり噛み付かれると大怪我をすることもあるから注意が必要。力ずくで離そうとするとますます食いついてくる。水に浸けてやると逃げていくようである。

 スッポンは精が付く、コラーゲン豊富で美容に良いなどと、食用として妙な人気がある。私は養殖しか食べたことがないが、たしかに美味しかった。うわさでは野生のスッポンは養殖ものとは比べ物にならないほど効果が高いといわれているが、実際はどうなのであろうか。六方田んぼで甲羅25センチほどの食べごろの野生スッポンを捕獲した。真夏に水を張った休耕田にカエル等を食べに来ているのであろうか、湯のように高温の浅い水中に、緩慢な動きで2匹おり、そのうち1匹の捕獲に成功した。

 
 食するにはしばらく真水に入れて泥を吐かせるのが良いというので、家で飼育していたのだが、2週間もたつと愛着が出てしまい、つい餌をやったりして、とても食べることが出来なくなってしまった。仕方がないので元の場所に逃がしてやった。

 スッポンは、田んぼの中を進んでいき、一度だけ私のほうを振り返って、やがて泥の中にもぐって姿が見えなくなってしまった。
 
 いつか野生のスッポンを食べてみたいと思っている。


ニホンミツバチの分蜂


ニホンミツバチの分蜂
 豊岡市街地のある庭にミツバチの塊が出現した。日本ミツバチの分蜂である。
 ミツバチは一匹の女王バチと多くの働きバチが群れで巣を作って生活しているが、新しい女王バチが生まれると古い女王バチは働きバチを連れて巣を出て行き、新しい巣へ引越しする。その引越し作業中に沢山のハチが塊を作った状態になり、それを分蜂球という。

この状態は一時的なもので、先に働きバチが巣を出て、女王バチと合流し分蜂球となり、さらに巣を作るのに適した場所へ移動していくらしい。ニホンミツバチは、変に刺激してやらなければあまり人を刺さない。分蜂球を近くで観察していても、攻撃してくるような気配はない。だから、もし庭に分蜂球が出来たとしても大騒ぎする必要はない。そっとしておいてやるべきである。
分蜂球が出来たら、その近くに巣を作りやすいミツバチ巣箱的なものや、建物の屋根裏などちょっとした隙間があれば、巣を作る可能性がある。だから日本ミツバチの巣が出来たら困るのであれば要観察である。

 多くの場合は春から夏にかけて分蜂は起きるが、秋に出現することもある。写真は10月16日。飼育されているニホンミツバチの場合は、この分蜂が始まったら巣別れの群れを追いかけて分蜂球を確認し、それを捕獲して別の巣箱に入れて、巣箱を増やしていくようである。
 なお、飼育ミツバチの主流はセイヨウミツバチだが、ニホンミツバチを趣味で飼育している人もいる。但馬でも飼育している方はいらっしゃるようである。

ニホンミツバチは豊岡市街地でも普通に見られ、里山などで野生の巣もよく見かける。
写真
  分蜂球    平成22年10月16日 豊岡市大磯町
  石塔の蜂の巣 平成21年8月16日 豊岡市妙楽寺


ヌマエビとミゾレヌマエビ

水田のビオトープやその周辺で見つかるエビの殆どがミナミヌマエビですが、円山川の本流や下流域のワンドなどで調べると、よく似た別種のエビが見つかります。

これはミナミヌマエビで上から見たところ。

これはミゾレヌマエビです。角の先端と、胸の棘に特徴があり、見分けられます。小さな個体が混じっています。オスは小さいらしいのいでオスかも知れません。

ヌマエビがいました。初めてみました。見逃していたのかも知れません。これは眼の上の棘で見分けます。

この棘です。


ムキタケ


ムキタケ (ヒダナシタケ目キシメジ科ワサビタケ属)
Panellus serotinus(Pers.:Fr.)Kuhn.
(剥茸)

 晩秋、深山のブナ倒木枯れ木に群生する。柄は偏心生で、群生する様はヒラタケや毒菌のツキヨタケによく似ている。

ナメコと混在することも多い。また、毒菌のツキヨタケとも同時期に発生することもあるので注意が必要である。色は汚黄色、黄褐色、緑や紫色っぽいものなど多様である。
もっとも特徴的なのは、名前の由来であるように皮が剥きやすいということである。傘の表面は少しビロード状に微毛が生えていて、その皮が剥きやすいのである。皮の下にゼラチン質の層があるかららしい。

 優秀な食菌である。大量に収穫でき、倒木から数年間毎年収穫できる。ボリュームもあり、味は穏やか、程よいキノコ臭、少し土臭い香りが気になる向きもあるが、深山の香りである。表面は多少ぬめりもあるが、ごみは掃除しやすい。付け根近くにコケや小さな木の皮が一体的に付着している場合があるが、大量収穫できるのでざっくり除去すればよい。

 水分を多く含んでいる場合が多いので、手で水分を絞ってから鍋に入れると出汁を良く吸って美味。皮の部分に苦味があるので、剥いてから食すべきと書かれているものも多いが、私は剥かなくても気にならない。鍋で食べるときは、熱い汁が口中で噴出しやけどすることがあるので、ノドヤケとかノドヤキとかの地方名もある。

 晩秋深山の優良食菌としてナメコと並ぶ賞賛が与えられているようであるが、但馬ではナメコが優先され、やや評価は低いようである。
 
 写真は兎和野高原。汚黄色と紫の強いものと2つのタイプが判ると思う。どちらもムキタケ。


エビの仲間

秋遅くのビオトープの調査では、成虫越冬の生き物がみつかります。ゲンゴロウの仲間もその1つです。
河川や池、水脈がつながるビオトープではエビの仲間も見つかります。
ビオトープの生物調査で現れるエビはほとんどミナミヌマエビとしている。実際のところ、本当にミナミヌマエビなのか不安はある。いくつかのヌマエビの仲間がいるが、いろいろ調べてみると、豊岡近辺では、多くがミナミヌマエビと考えてよい。
ミナミヌマエビ、スジエビ、テナガエビの3種に分類することで、われわれのビオトープ調査(河川も含む)では問題ない。

ミナミヌマエビの体色はいろいろだ。茶色の体色で背中に薄著色のスジが入る個体は、一見別種に見えるが、ミナミヌマエビでよい。


この2つはミナミヌマエビ

これはスジエビ。腹部に縞があるが不明瞭。胸の縞模様が確実な区別点。

ミナミヌマエビ
額の大きな突起のギザギザも細かい。

スジエビ
逆ハの字の縞。ギザギザは大きい。エビ自体も大きくなるが、小さいときはこれで区別できる。
テナガエビは胸に逆ハの字の縞がない。


ツキヨタケ


ツキヨタケ (ヒダナシタケ目キシメジ科ツキヨタケ属)
Lampteromyces japonicus(Kawam.)Sing.
(月夜茸)
 ツキヨタケはキノコ中毒の一番多いキノコである。シイタケ、ヒラタケ、ムキタケという優秀な食菌によく似ているため、そこそこ野生キノコを食べている人でも間違って食べてしまうことがある。食べると美味らしいが、食後一時間ほどで嘔吐、腹痛、下痢、すべてが青く見えたり、ホタルのようなものが飛ぶように見えたりする。滅多に死ぬことはないが、死亡例もあるから恐ろしい毒菌である。

 夏から秋にブナ等に発生する。折り重なって発生する様子はヒラタケ、ムキタケに似ており、色はシイタケに似ている。傘は茶色で濃い色の斑点のようなものがあり、少し怪しい雰囲気である。

 傘を裂くと付け根の部分に黒いしみがあるので、このしみがあれば決定的である。しかし稀にしみが薄かったり見当たらないものもあるから複数を確認すべきである。幼菌では柄の上部に付くツバがはっきりしているのも特徴である。柄は偏心生。見慣れてくるとすぐにツキヨタケと分かるようになる。
 もうひとつ特徴なのは、名前の由来であるように、ヒダの部分が発光するので夜間見るとぼんやり光っているということである。
 ブナの倒木にぎっしりと重なり合って生えているものは壮観で、これがヒラタケであったらなあと思ってしまう。
 
 写真:平成22年11月2日 香美町小代区


スケバハゴロモ?(幼虫)


スケバハゴロモ?(幼虫) カメムシ目ハゴロモ科 (Euricania facialis)
(透羽羽衣)
幼虫である。スケバハゴロモの幼虫ではないかと思うが、もしかしたらベッコウハゴロモかもしれない。あるいは別種かよく分からない。

しっぽのようなタンポポの種のような、、糸状の蝋物質が特徴的である。
成虫になるとはっきりわかるのだが、その後羽化した成虫は確認できていない。しかし、スケバハゴロモの成虫は以前同じ場所で見かけたことがある。

スケバハゴロモは雑木林の周辺で見られるという。我が家の庭は、ミニミニ里山を目指しており、それなりにそれっぽくなっている。成虫と幼虫が同時に見られることも多いようであるが、草とりをしすぎてしまい、少し環境が適さなくなってしまったかもしれない。
庭にいる小さな不思議な生き物である。


アオバハゴロモ


アオバハゴロモ カメムシ目アオバハゴロモ科(Geisha distinctissima)
青羽羽衣

 ウドの幹に、白いワタのようなものが沢山くっついている。前回報告したアブラムシの仲間のワタムシではない。ワタがもっと大きいのだ。よく見るとワタの中に虫らしきものが入っているような塊があり、さらによく見ると、やはりムシである。触ってみると勢いよくジャンプするので驚いてしまう。ワタの中に結構しっかりした虫が入っているのだ。
 アオバハゴロモという昆虫の幼虫である。

 彼らは、体から蝋物質を分泌し、束のようにしてあるいは粉末を全身にまとっている。真っ白純白である。こいつが止まっているウドにも綿状のものが付着して、ウドという植物はこのように白い綿状のものを茎についているのが通常なのかと錯覚してしまう。幼虫は集団でいることが多いので、ウドは白いワタまみれになっている。

 7月、気がつくとウドに白いワタが沢山目立つようになり、次の週に見てみると羽化している。アオバハゴロモの成虫。薄い緑色が美しい。初めてこいつを見たときは、枝豆を連想した。ぱっと見には、つるつるの薄緑の枝豆みたいできれいな虫であるが、クローズアップで近づいて見てみると、おいしそうではない。

 柑橘や茶、庭木などにも発生し、成長を害されるので害虫ということで、アオバハゴロモについて調べてみると駆除方法等が解説されている。でも個人的には駆除しようなんて気にならない。好きな虫なのである。
 学名のGeishaとは芸者のこと。ぱっと見には美しく、よく見るとお化粧をしているようにも見える。薄緑色はおしろいをしたようにも見える。羽の後端を中心に紅をさしたようになっている。白いワタを身にまとってぴょんと跳ねる幼虫が芸者を意識させたのかもしれない。いずれにせよ命名者のセンスを感じる。アオバハゴロモである。


ワタムシ


ワタムシの一種 (カメムシ目・腹吻亜目・アブラムシ科)
綿虫

 庭で葉っぱの裏を見てみると、白いワタのようなものが沢山くっついていた。隠れるように反対側に移動するものがいる。少し動いて飛び立つものもいる。それが綿ぼこりのように漂っている。

 この生物は何なのかと気になっていた。調べてみると、どうもワタムシという昆虫の仲間らしい。リンゴなど果樹の害虫としてもその関係の人たちには有名な生き物。アブラムシ「アリマキ」の仲間であった。

アブラムシは、羽のない状態で沢山増殖してコロニーを作る。アブラムシの仲間に、ワタのような蝋物質を分泌して、それを身にまとって生活しているものがある。これがワタムシの正体である。アブラムシの飛ぶ力は弱いので、綿のような蝋物質を身につけているので飛びにくくて空気の流れに身を任せ、綿ぼこりのように漂う。北海道ではユキムシと呼ばれ、これが見られると間もなく初雪が降るということで親しまれているそうです。

たしかに、沢山くっ付いている様子はアブラムシの仲間であることを連想させるし、実際にテントウムシの幼虫に捕食されてもいる。白い綿状のものが美しく不快感はあまりないが、逆光で見ると綿が透けて虫の胴体や排泄物が分かり美しくない。

アップで観察すると、小さな羽根が見られ、綿の中にアブラムシがいることが分かる。種によってはリンゴなどの果樹に被害を出すが、庭木に付くものは大した被害は出ないようである。
種類を特定する自信はないが、庭に勝手に新しく生えてきたエノキについていたことや、インターネットのサイトで見る限りよく似ている事からエノキワタアブラムシ(Shivaphis celti Das)ではないかと思う。


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