テーマ別フォトコラム 一覧

アリグモ

アリグモ (クモ目ハエトリグモ科Myrmarachne japonica)
蟻蜘蛛

 アリにそっくり。姿かたちも動き方もそっくり。ちょうどクロヤマアリという種に似ている。歩き回っているときはほとんど区別が付かない、というかアリに見える。
よく見ると足が4対ある。あごが大きい。昆虫は足が3対でクモ類は4対である。一番前の一対は顔の上に持ち上げて、アリの触覚のように見せる行動をとる。他の生き物に似せる形態や行動を擬態という。

 このアリグモについては、アリにそっくりになることで、どのようなメリットがあるのかよく分かっていないらしい。アリに自然に近づいてアリを捕食するためという説があったが、アリを捕食することは基本的にないということがわかり、アリに似せて身を守るということも効果があるのか疑問。
写真は我が家の庭でシャクヤクの葉っぱにいたもの。普通のアリもたくさん歩いている。アリグモは良く見かけるので、但馬では普通にいるのではないかと思う。顔を見るとアリでないことがよく分かる。すごい顔をしている。

アリグモに限らず、この擬態というやつ、どうすればこんなにそっくりに進化するのだろうか。葉っぱや枯れ枝とか周囲の環境に似せたやつ、他の強い生き物や毒のある生き物に似せたやつ。特別な意志に基づかず、単に偶然の積み重ねと淘汰の繰り返しで起こりえることとは、私などにはどうも納得しがたい。


アカテガニ


アカテガニ (十脚目 イワガニ科Chiromantes haematocheir)
赤手蟹

円山川の下流域の石積み、土手、川に近い山の中などにいる。石の隙間や土の穴に住んでおり、水辺からかなり離れた所まで入り込んで生活している。よく似た仲間にクロベンケイガニもいるが、より水に依存しておらず、アスファルト道路でたむろしていたり、庭を歩いていたり、思わぬところで見かけることがある。雑食性で、稲の葉っぱを食べたり、川沿いの田んぼを徘徊して土手に穴を開けている。

 名のとおり手が赤いのであるが、体色はバリエーションに富んでいて、全体的に赤いもの、黒っぽいもの、黄色い部分が目立つものなどさまざまである。
 主に淡水域で生活しているが、淡水に完全対応しているわけではなく、ずっと水につけておくと溺れるらしい。

真夏の満月や新月の大潮の時に、河口部に移動しいっせいに産卵するとのことであるが、私は残念ながらまだ見たことがない。幼生時には海水が必要で、そのため河川の下流域でしか生活していない。塩分のある河口域で過ごした幼生は、やがて川を上っていく。回遊しているのだ。カニ類で完全に淡水域に進出しているかにはサワガニしかいない。
 アカテガニは比較的簡単に飼育できる。


ホソミオツネントンボ


ホソミオツネントンボ
 (トンボ目(蜻蛉目)均翅亜目 アオイトトンボ科Indoletses boninensis)
 成虫で冬を越すトンボは日本に3種類しかおらず、そのうちの1種がこのホソミオツネントンボ。オツネンは越年がなまったものらしい。ホソミというのは近い仲間のオツネントンボよりも少し細いのである。
私は一度だけしか見たことがないが、冬にこのトンボがいる水辺の周辺の林縁部などの木の枝に越冬個体を見つけることが出来る。越冬中は木の枝のような地味な色だが、水辺に出てくるときはきれいなブルーになっている。美しいコバルトブルーが少しべっとりした感じで特徴的である。ほかに紛らわしい種はない。

 春先に最も早く姿を現すトンボのひとつで4月中旬ごろから見ることが出来る。春に交尾、産卵をして7月から8月に次の世代が生まれ、その個体が越冬するのが一般的なパターンのようだ。夏に成虫になり次の夏まで生きているので、成虫でもっとも長く生きるトンボということだそうです。

 田んぼ、ビオトープ水田、湿地などで見られます。特に珍しいということはないと思います。


ツマグロオオヨコバイ


ツマグロオオヨコバイ (半翅目 オオヨコバイ科Bothrogonia ferruginea)
田んぼの害虫でツマグロヨコバイというのがいるが、小さな粒みたいなものだが、それを大きくしたようなやつが庭にいる。1.5センチぐらいあるので、かなり目立つ。ツマグロオオヨコバイ、あるいはオオツマグロヨコバイと和名表記されているやつだ。通称でバナナムシとも呼ばれるらしい。平地の林や原野、人家付近に生息する。

この仲間は、植物の汁を吸って生きている。田んぼにはツマグロヨコバイが大発生して稲の成長に影響を与えるが、ツマグロオオヨコバイは大量発生しないので、庭木などに害を与えることはほとんどない。

成虫で越冬するので年中見られる。草色に羽のふちが黒く、背中に小さな円い斑点が規則的についていて、おもしろい。

あまり逃げないが、危険を察知すると横に這って葉っぱの裏などに隠れようとする。それでもだめだと思うと飛んで逃げる。しかし飛翔力はあまりないので数メートル程度しか移動せず、でどこかに行ってしまうという事はない。

幼虫は白からレモン色で羽がなくて結構美しい。残念ながらまだ撮影できていないが、また紹介したい。愛嬌のある庭の生き物である。


アケビコノハ


昆虫綱鱗翅目ヤガ科
 庭にムベが植えてある。常緑なので垣根にするのと、アケビに似た実が目的で植えた。しかし、受粉の関係かほとんど実が付かない。その代わり、毎年アケビコノハというガの幼虫が発生する。

 アケビコノハはガの仲間であるが、ケムシではなくイモムシである。ケムシはあまり好きではないがイモムシは好きだ。すべすべのお肌。

 アケビコノハの幼虫は宇宙生物エイリアンのような姿で、よく見ると美しい。成長するとかなり大きくなり、終齢幼虫はぼってりとしてさわり心地もなかなかである。シャチホコのようになってじっとしている。

 コバルトブルーの斑点も美しいし、目玉模様が迫力である。蛇の目に似ているので、食べに来た鳥をこれで威嚇するらしい。庭に沢山鳥がやってくるが、アケビコノハは毎年すくすくと育っており、目玉が効いているのだろうか、鳥には捕食されていないようだ。

目玉模様は、両サイドに二つずつあり、前側のほうがはっきりした丸で、後ろ側は丸が欠けていたり力強さがあまりなかったりする。
個体ごとに形が違う。

庭の垣根に絡ませているムベは、実の収穫にはまったく役に立っていないが、冬場も葉っぱが落ちないので垣根の役には立っている。また、アケビコノハの観察のために植えるのも良いと思う。



(通草木葉)


ヤマブシタケ


ヤマブシタケ (ヒダナシタケ目サンゴハリタケ科サンゴハリタケ属)
Hericium erinaceus (Bull.) Persoon
(山伏茸)
 外見に特徴があるキノコである。傘を作らずに、ヒダでもアミ目でもなく針を垂らしたような形になっている。若いときは真っ白で徐々に肌色になる。傘からヒダではなく針を垂らすキノコはいろいろあるが、傘を作らないでいきなり針を垂らしていることころがこの仲間の特徴である。
 ヤマブシタケという名前の由来であるが、山伏が蓑を背負った形に似ているから、、、、と思っていたが、山伏が着る衣の胸飾りに似ているからというのが正しいようだ。山伏が胸につけているあのボンボンさんのことだ。
 秋、広葉樹の枯れ木に発生する。固めのスポンジ状で、握ると水が滴り落ちた。多少苦いものもあるようだが、私の食べたものは温和な味、特においしいということもないが普通に食することが出来た。
 このキノコは漢方薬で使われており、「D-トレイトール」などの抗酸化物質を沢山含んでおり、薬効優秀であるらしい。少し怪しい健康食品?として、乾燥粉末や錠剤など販売されている。「血液中の脂質量を調整し、血中糖分量を削減する効果の可能性がある」とか、「βグルカン含有量が高いことで知られている」とか、「SOD数値が高く全食品の中でもトップクラスである」とか、ヤマブシタケに含まれる成分の「ヘリセノン」は、「認知症の特効薬として近年注目されている」とか、「免疫力を調整するきのこ」とか、なにやらよく分からないが、さまざまな効果があるようなことが書いてある。しかし医薬品ではないので具体的な効用を書いては違反になるのだろうし、わざわざ「規定により具体的には書けないので良しなにご賢察願いたい」とまで親切に説明してあったりする。
 ある健康食品サイトによると「ヤマブシタケは日本や中国の深山幽谷で、稀に発見されるキノコ」だそうだ。確かにあまり見かけないキノコではあると思う。ただし、僕はコウノトリの郷公園の山でも見たので、深山幽谷にしか発生しないことはないであろう。ちなみにこのキノコは栽培可能で、豊岡市内でも栽培されていたことがある。

 その姿、名前、さまざまな薬効が期待できる成分、、、、心と健康の不安な現代において、野生キノコと縁のない方々には健康食品として粉末や錠剤を購入する人もいるんでしょうね。
 山伏茸 (山伏のようなキノコ)
 写真:平成20年11月3日 豊岡市 コウノトリの郷公園内の山中


豊作のブナ


昨年(平成21年)4月にブナの開花について報告したが、昨秋は予想通りブナが大豊作であった。来日山頂付近のブナ林。9月21日である。
小さなイガの中に2~3粒ほどの実が入っている。

シバグリやシイの実を小さくしたような感じで、渋みはなく殻を割ってそのまま食べることも出来る。


豊作の年は大量に実が付くので、クマなどの大型獣にとっても貴重な栄養源になるようだ。

ブナというとかなり標高が高いところにあるので、簡単には見られないように思われるかもしれないが、林道整備で今では車で簡単に見ることが出来る。

 兵庫県の調査でも昨秋はブナ、ミズナラ、コナラが大豊作という結果が出ている。
http://www.wmi-hyogo.jp/tyuui/tyuui09_2.pdf
 確かにコナラなどのドングリ類も豊作で、山を歩くとドングリがざくざく状態のところが沢山あった。10月に有害捕獲されたシカの胃の中を見る機会に恵まれたが、ドングリが沢山入っていた。写真は10月11日、豊岡市内の里山。

 液果類も豊作だったように思う。

これはヤマホウシ、大粒でおいしかったです。

 これは10月12日、別の場所のヤマナシ。私が見た数本なのでサンプル数は少ないですが、みんな良く実が付いていました。 やはり昨秋はクマの出没が少なかったですね。


ナメコ


ナメコ (ハラタケ目モエギタケ科スギタケ属)
Pholiota nameko (T.Ito)S.Ito et Imail in Imai
(滑子)
 西日本の深山キノコの王様はナメコと言われている。私は豊岡周辺の低山を中心にキノコを見ているので、大量にナメコを採ったことがない。村岡や小代の人から大量のナメコを採った話を聞いてはうらやましく思っていた。

 この秋、氷ノ山山系へナメコ採取に連れて行ってもらう機会に恵まれた。11月下旬である。時期的にもう遅いかもと言われていたが、まだ残っていた。ブナ林のブナやミズナラなどの倒木朽木、発生の仕方が豪快である。倒れていない朽木では、手が届かないので口惜しい。倒木なら採取しやすく嬉しい。
 倒木の場合、ナメコのヌメリのため、木の葉の破片や腐葉土などのごみが付きやすい。だから、ごみの付いていないものだけ選んで、付け根を鋏で切って、直接袋で受ける。ごみの付いているやつは絶対に入れない。そうすれば、家で食べるときに掃除をしなくて速やかに食することができるのだ。これも大量に発生しているから出来るのであって、贅沢なことである。簡単にレジ袋半分ほど採取できた。

 野性のナメコのおいしさは、発生途中の小さな栽培品と比べ物にならない。ボリュームもあり、ヌメリ食感、歯ごたえ、味、香り、すべてにおいて数段勝っている。食菌としての優秀さについては多くを記載する必要はなかろう。
写真:平成21年11月29日 香美町村岡区


トラックも平気


コウノトリの郷公園が開園して10年。試験放鳥が開始され4年。46年?ぶりの野生化での巣立ちから2年3ヶ月。10月31日に豊岡市但東町唐川で2羽が放鳥され、37羽が自由に飛んでいる。参考までに飼育下では99羽が郷公園と増殖センターにいる。

コウノトリのいる風景もすっかり馴染んできた感がある。最近、蓼川大橋のたもとの円山川の浅瀬で良く見かける。車から良く見えるのだ。10羽ほどいただろうか。

朝もやの中、撮影した。一部飛び立たせてしまった。

横を沢山の車が行き交っている。

R312の横の電柱に停まった。


円山川が大好き、電柱も好き、トラックも平気だよ。人間は近づきすぎたら一応逃げます。


ササクレヒトヨタケ


ササクレヒトヨタケ (ハラタケ目ヒトヨタケ科ヒトヨタケ属)
Coprinus comatus (Muller:Fr.)Pers.
(ささくれ一夜茸)
春から秋にかけて、道端や草原、堆肥置き場など、地中に有機物が埋もれていると思われる場所に発生する。

地面からぎっしりと束になって発生し、時に高さ30センチぐらいに巨大化するものもある。

若いときはこけしのように整った形で、まっすぐな軸に縦長楕円形のボンボンさんが付いている感じ。傘にはささくれがある。ボンボンさんの傘は徐々に開き弾頭型になりさらに開いていくが、同時に端のほうから黒ずんで、液化して溶けて行く。

図鑑では黒インク状になると良く表現されているが、実際にインクの代用に利用されたこともあるという。立派なきのこが一夜でとろけてしまうから一夜茸と呼ばれる仲間である。ささくれのないヒトヨタケとささくれのあるササクレヒトヨタケがこの仲間ではまずまず有名だと思う。黒くとろけてしまう特徴と、人目につく場所での発生、ヒトヨタケは食べられるのだが、お酒を飲むと悪酔いするということで有名。ササクレヒトヨはそんなことはなく、食用となる。
ササクレヒトヨタケは歯ごたえ良好、香り味とも温和でおいしく、間違えることもなく大量に採れるので優秀な食菌と思う。栽培もされている。お酒を飲まなければヒトヨタケも食べられるが、禁酒をしてまで食べる熱意はないので、ささくれがあると嬉しい。

写真は海岸の砂浜に発生していたもの。
ささくれ一夜茸:ささくれのある一夜で溶けるキノコ
但馬では珍しいキノコではないと思う。


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