トゲアリ


トゲアリ  ハチ目・アリ科・トゲアリ属
Polyrhachis lamellidens
棘蟻

森林内を歩いていると、木の幹が黒くなっている。よく見ると多数のアリの塊である。ミツバチの分蜂のようなものであろうか。



このアリを良く見てみると、胸部は褐色で大小4対8本の棘が生えている。調べてみるとトゲアリであった。

やや稀と記載されている資料があったので、次の週もわざわざ同じ場所に観察に行った。普段は注意していなかったアリであるが、このアリの特徴を覚えると、その辺の山でも良く見かけることが出来ることが分かった。

但馬では普通種だと思う。大型の山に棲むアリで、胸部の褐色と棘で簡単に見分けることが出来る。

背中の棘はかなりいかめしい。どんな役に立っているのか不明である。自分の体に刺さりそうで、その関係か腹部は常に下を向いている。
近くで観察しても人間には無関心なようで、今のところ噛まれたりしたことはない。

体長7~8 mm。巣は朽木などに作られる。生態的にはクロオオアリ、ムネアカオオアリなどに一時的に寄生するのが特徴である。トゲアリの新女王アリが他のアリの巣に侵入し、そこの女王を殺して居座り、その巣にいる働きアリに自分の子どもを育てさせる。元からいたアリがやがて死滅すると、トゲアリ単独の巣となる。これを一時的社会寄生という。