ヒコナミザトウムシ
ヒコナミザトウムシ
(ザトウムシ目、 マザトウムシ科 Nelima nigricoxa Sato & Suzuki)
ザトウムシは山の中で生活している。節足動物のクモ綱に属し、クモに似ているがクモのように頭胸部と腹部でくびれていない。複眼でもない。単眼が一対ある。座頭虫、めくらグモなどと呼ばれるがちゃんと眼はある。糸も吐かない。分類的にはダニに近いようである。
山の中を歩いていると、よくザトウムシを見かける。長い足で動体を浮かして、地面や樹上をゆっくり歩いている。私はこれまでザトウムシについてはほとんど調べたことが無いのであるが、里山で見かけるものは小さくて弱々しいものが多いように思う。昨年秋に標高の高いブナ・ミズナラ林で、やけにデカイザトウムシに出会った。これまで持っていたザトウムシのイメージとかなり違う。大きくてしっかりしているのだ。ネット等で調べてみて自分なりにオオナミザトウムシと同定したが、オオナミザトウムシは円山川以東にしか分布していないことが分かり、外見的にはほとんど識別困難なヒコナミザトウムシであるとの結論に至った。
胴体が大きい。1センチぐらいある。足が長い。足まで入れると手のひらぐらいになる。
SFの宇宙生物のようである。頭胸部から出ている、一対の単眼、4対の脚。山の中は小さな虫にとっては障害物だらけで、飛んだり、飛び跳ねたり、掻き分けたり、もぐったりして移動する、あるいはほとんど移動せずに生活するものが多い。しかし、ザトウムシは長い足で動体を持ち上げ、8本の足でゆっくりと歩いて移動する方法をとっている。
SF映画にこういう形態の生物とかロボットとか乗り物とかがよく出てくるように思う。独特なのである。
落ち葉などを食べているのかと思ったら、意外と動物食で昆虫の死体などを食べているようだ。あまり生態が研究されていないグループのようです。普通種。
写真:2011年11月 兎和野高原
*このブログに投稿時点ではオオナミザトウムシとしておりましたが、ザトウムシの研究者である鶴崎展巨先生のお話を聞く機会があり、ヒコナミザトウムシであることが分かりましたので、記述を修正しました。平成24年6月2日。