似たもの同士?母と父
ハハコグサ キク科
ハハコグサ
チチコグサ
お正月の贅沢な食事に疲れたお腹には、七草がゆがなかなか優しい。
今年は大雪なので七草を取るのは大変だっただろうと思う。正直に言うと、私はこれ
まで、好物であるセリは単品で採ってきて食べたことがあるが、七草をそろえたことは
ない。
にもかかわらず、七草がゆをいただけているのは、スーパーに並んでいる七草セット
を買ってくるからである。
もう何年前になるか忘れたが、家人が七草セットを買ってきた。たまたま見てみると
どうも様子がおかしい。
七草の中にオギョウという植物がある。これは今で言うハハコグサのことなのだが、
このハハコグサが見つからない。ハハコグサであるべきものがどうみてもチチコグサな
のだ。
ハハコグサとチチコグサは、「母と父」というぐらいだから似ても似つかぬというよ
うなものではない。チチコグサには毒はないはず。それに、ハハコグサにしたところで
、おいしいというほどのものではない。
ということで、チチコグサはそのまま七草がゆになった。
気づいてしまった以上報告しないといけない気がして、買ってきたスーパーに電話を
した。「ハハコグサがチチコグサになっていますよ」と。しかし担当者には、それが正
しいのかどうか分からない。「生産者に問い合わせる」ということで電話は切れた。
しばらくしてかかってきた電話によると、我が家で食べた七草セットは四国のある県で作ら
れたものだった。
ハハコグサを「チチコグサ」のように呼ぶ地方はたくさんある。例えば但馬でも、旧
美方町では「チチコ」だ。しかし、チチコグサを「ハハコグサ」と呼ぶ地方は知られて
いない。
あれ以来、野菜売り場に行くと、七草セットが気になるお正月である。
(文と写真 コウノトリ市民研究所 菅村 定昌)
※2006/1/29(日)掲載