ギンヤンマ


ギンヤンマ(不均翅亜目ヤンマ科)
 田んぼにはいろいろなトンボが発生する。水を張ってビオトープにしておくとさらにいろいろなトンボが発生する。真夏のビオトープにはシオカラトンボ、ショウジョウトンボ、コシアキトンボ、ウスバキトンボなどが飛び回っている。その中でひときわ大きなものはギンヤンマ。オスの腹部は鮮やかな青色に輝いており、遠くからでも良く目立つ。
 トンボのオスたちは縄張りを作ろうとして、他のオスが近づいてくると激しく攻撃して追い払ったりしている。飛び回っているかと思うとあぜや水草などに止まったり。しかしギンヤンマは常に飛んでいて、ゆっくり移動したり、ホバリング(静止飛行)したり、他のオスを見つけて猛スピードで追いかけて、バシッと音を立てて体当たりしたり、見る見るうちに空高く舞い上がってまた水面50cmあたりまで降りてきたりして忙しい。ギンヤンマが飛んでいない時というのは、オスとメスとつながって産卵のために水中にお尻を突っ込んでいるところしか見たことが無い。
 チョウトンボとかカワトンボの仲間は、ひらひらと飛ぶので羽の動きが肉眼でも分かるが、ギンヤンマをはじめ高速で飛ぶトンボたちについては速すぎて見えない。シャッター速度を1000分の一秒ぐらいで写真を撮ると、トンボの羽が止まって写る。飛行中のトンボの撮影はなかなか難しいが、ギンヤンマの動きを観察していると、田んぼの中を巡回する大体のパターンらしきものがあるのに気が付くし、長い間待っていると、うまい具合に手ごろな距離で数秒間静止飛行をしてくれることがある。コツをつかむと飛行中のギンヤンマは比較的写真に撮りやすいことが分かる。
 4枚の羽が複雑に動いている。左右対称のときもあれば、非対称の時もあり、すべての羽が上がっているかと思うと、3枚が上で一枚が下、あるいはきれいな×印になっていたり、どのような周期で動いているのか良くわからない。
写真・文 コウノトリ市民研究所 稲葉一明
※2006年8月27日掲載