田んぼを食べる鳥
田んぼを食べる鳥
コハクチョウ カモ目カモ科コブハクチョウ属
豊岡盆地で2羽のコハクチョウが越冬している。コウノトリの野生復帰に取り組むこの地域では「コウノトリ育む農法」として、冬場にも水を張る「冬季湛水水田」が広がりつつある。コウノトリ以外の水鳥たちにも歓迎されているようで、これまでは羽休めに豊岡盆地へ立ち寄る程度だったコハクチョウが、昨シーズンより越冬地として居座るものが出てきた。これは大きな変化であろう。
さて、このコハクチョウ、河谷地区でコウノトリ野生復帰に取り組んでおられる岡 治さんのブログから、「やっかいな水生雑草のクログワイが一番繁茂している田んぼを、過日1月20日トラクタでかき混ぜて以来、コハクチョウ2羽が住み着いて、終日クログワイの球根を食べてくれている模様。」との情報を得た。(http://pub.ne.jp/kounotori/「六方たんぼのコウノトリ」で検索可能)
早速現地確認に赴いた。確かにコハクチョウは田んぼの泥の中に長い首のほとんどを突っ込んで、なにやら探し出し、引っ張り出すようにして食べている。よほど美味しいものなのだろうか、泥の中深く、もしかしたら30センチぐらい入っているかもしれない。トラクターで代掻きをしたあとだからこんなことが出来るわけであるし、そんな深いところにある美味しいものというのは、クログワイの球根である可能性は十分にある。もし、コハクチョウがクログワイの球根を退治してくれるとしたら、この厄介な難防除雑草を無農薬でやっつける新たな農法になる可能性もある。
コハクチョウが田んぼに食らい付いている上空を4羽のコウノトリが舞っていた。冬季湛水水田は、コウノトリだけでなく様々な生き物を育み、そして農薬をできるだけ使わない安全なお米を生産していく。こんなに素晴らしいことはないだろう。
純白の美しいハクチョウであるが、泥の中から出てきた顔は真っ黒である。
NPO法人コウノトリ市民研究所
主任研究員 稲葉一明
2007年2月11日掲載